日本ではこれまで新築の家を持つことがステータスとされてきましたが、経済状況の悪化や少子高齢化などの諸問題によりライフスタイルも大きく変化し、現在では中古物件のリノベーションが住まい探しのひとつのスタイルとしてすっかり定着しました。

中古物件をリノベーションするメリットには、同じ地域で同じような広さの新築物件と比較してリーズナブルであることや、物件の選択肢が増えて好立地を選びやすいこと、ライフスタイルに合わせて自由に間取りや内装を変えられることなどがありますが、メリットばかりではなくデメリットも確実にあるため注意しなければなりません。

リノベーションするための中古物件探しの注意点としては、一戸建て住宅の場合は「新耐震基準」に適合しているかを確認する必要があります。

1981年6月1日以降に確認申請を取得して建てられた物件は新耐震基準に適合した物件なので安心ですが、それ以前の物件の場合は耐震性確保のため耐震工事が必要になるケースがあるため、当初の予算を大幅にオーバーことがあるため注意が必要です。

また、物件全体や基礎部分に傾きがないかどうか、柱や梁に変色などはないか、床下部分の白アリの被害や木材に腐食は発生していないかなどを事前にしっかりと確認しておくことが注意すべきポイントです。

これらのような見ただけでは発見できないような欠陥については、売主がその責任を負う「瑕疵担保期間」が設けられており、新築住宅の場合は引き渡し後10年間がその期間として義務付けられていますが、中古物件の場合は新築とは異なり、売買契約ごとに瑕疵担保責任の範囲や期間を定めることになっています。

物件の引き渡し後1ヶ月から3ヶ月程度が一般的ですが、場合によっては「瑕疵担保責任を負わない」としている物件もあるため、契約時に契約内容を十分に確認しておかないと追加で補強工事の費用が発生してしまうので注意が必要です。

更に、2003年には新築住宅に24時間換気システムの設置が義務付けられましたので、それ以前に建てられた住宅の場合は換気性能が不十分であることが考えられますので、性能向上のためのリフォームを忘れずに加えておくことが大切です。

なお、中古物件を探す場合はこれまでのメンテナンス履歴を確認することで劣化状況を確認することができます。一般的には10年目で外壁や屋根、20年目で給湯などの設備交換をするのが目安となっているので、メンテナンス状況を確認することによって10年後に大きな差を付けることが可能になります。

マンションの場合は、自由度が高い間取りを考えていても、マンションの構造上間取りの変更が実現できない場合があります。

基本的に大きな間取りの変更ができるマンションは、一戸がコンクリートの壁で囲まれていて、間仕切り壁に木や軽量鉄骨が使われている構造の物件です。マンションリフォームは、コンクリートでできている壁や柱・床・天井などには削ったり穴をあけることができないことが基本です。管理規約や共有部分に制約がある場合も少なくないので、あらかじめ確認しておくことが注意すべきポイントです。

次に、水回りや照明の移動をしたい場合には床下の給排水管や天井裏の配線を移動させなければならないため、床下は二重床になっているかと天井裏に空間があるかを確認しておくことが必要になります。

床下が二重床ではない場合は水回りの移動がかなり困難で、天井に空間が無い場合は電気配線が表に出てきてしまうことになるので注意しなければなりません。

マンションは限られた空間だからこそリノベーションプランが重要になるので、物件探しは慎重に行うようにしましょう。

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