夏休みに実家に帰って、モノが増えていることにびっくりした、という方は少なくありません。高齢の親だけが暮らす実家は、子ども達だけでは把握できないものも多く、自分たちだけで片付けが出来るだろうか、親が生活していく中で転倒して怪我をしないだろうか、と心配になってくるかもしれません。
高齢の親が、モノで溢れすぎた家での暮らしをしなくて良いように、安全に快適に暮らし続けてもらうためにおススメなのは、生前整理を兼ねたリフォームを行うことです。モノを減らして整理していくうえで、リフォームと組み合わせることにどんな効果があるのか、リフォームのポイントとともにご紹介したいと思います。
1. 生前整理にリフォームを組み合わせると良いのはナゼ?
実家を片付けたり、生前整理をしたりするうえで、リフォームを組み合わせることにはメリットがあります。モノが多い家に潜む危険と、リフォームの効果性をご説明したいと思います。
■高齢者の住まいには「モノ」による危険が潜んでいる!
転倒や骨折などの高齢者の事故の多くは、自宅内で起きています。長く暮らしているうちにモノが増えてきて、余裕のある動線が確保できず、家具に足や手をぶつけてしまったり、取りやすい位置に置くために床置きのものが増えて、つまずいてしまったりすることが原因になっています。
また、地震などの災害で、背の高いタンスや食器棚が倒れたり、収納しているものが飛び出してきたりして怪我をするケースも増えています。家具の転倒で怪我はせずとも、避難経路がふさがれてしまうという、命に関わる危険も潜んでいます。
さらに、モノが溢れていることで、探しモノが増えてしまいストレスになっている方も少なくありません。探しているものが見つからなかったために、新しいモノを買い足してしまい、さらにモノが増えてしまうという悪循環を招いている場合もあります。
このように高齢者の住まいには、モノによる危険が潜んでいるため、体力が低下していく中で、災害時でも安全に快適に暮らすためには、モノの量や収納場所を適正にしておくことが重要です。
■捨てるだけではリバウンドしやすい!?
実家に溢れるモノによる危険を減らすためには、片付けや捨てるのが一番良いような気がしますが、長年培ってきた暮らしのスタイルは簡単に変えることが出来ないため、一度片付けや断捨離を行っても、意外にも数か月で元の状態になってしまったという失敗例は少なくありません。愛着のあるものが多いことや、断捨離されることで居場所を取り上げられてしまうような喪失感を感じることなど、そもそも捨てること自体に難しさを感じる方も多いのが現実です。
その点、片付けや断捨離を単体で行うよりも、間取りや収納を変えるリフォームというイベントを作る方が、片付けに取り組みやすいというメリットがあります。居場所を取り上げるどころか、リフォームによって安全で快適な場所で長生きしてほしいという思いも伝わり、ポジティブマインドで断捨離を行いやすくなりますし、暮らしに合ったリフォームは、リバウンドもしづらくもなります。そのため、実家の生前整理にリフォームを組み合わせるのは効果的な方法と言えます。
2. 生前整理を組みあわせた安全に暮らすためのリフォーム計画とは?
実家の生前整理を行いつつ、高齢の親が安全に快適に暮らす家にするには、どんなリフォームを行うと良いのでしょうか?ポイントをご紹介したいと思います。
■重い置き型家具は処分して造作収納にリフォーム
片付けやすい家、モノが溢れない家にするためには、ワンアクションでモノが取れ、かつ、床にモノを置かずにすむような収納計画を行うことが重要です。吊り戸などの高い位置の収納は、見えないうえに手が届きにくく、踏み台や椅子に乗ってモノを取ることになるので転倒の危険もあります。そもそも高い位置に収納したモノは取り出すのが億劫で使っていない、何年も開けていないという方も多いので、吊り戸や押し入れの天袋は無くして、目線の位置や手が届く位置、地震の際に落下しない位置に収納を設けるようにしましょう。収納棚やカウンターを設ける際には、使う人が無理のない動作でモノを出し入れできるか、実際に動きを確認して高さを決めると確実です。
また、サイズがバラバラで動線を遮っている家具や、重くて処分に困る婚礼家具などはリフォームのタイミングで処分して、クローゼットやパントリー、壁面収納など造作収納を作るようにしましょう。リフォームで作った収納スペースにモノがきちんと収納されていれば、床や壁がフラットになるので、動線もスムーズで手すりなども設置しやすくなりますし、災害時の置き型家具の転倒の心配もありません。
■『捨てる』ではなく『適正量』に合わせた間取り変更
リフォームで収納を増やして、ただ断捨離や片付けを行えば解決するわけではないこともあります。家を建てた当時や家族で暮らしていた時代から、家族構成やライフスタイルが変わっているにも関わらず、間取りは変わっていないことが、モノが増える原因や片付かない原因になっている場合もあります。そのため、ただモノを片付けるだけではなく、実家に住んでいる家族のライフスタイルに合わせて、家そのものの間取りや収納計画を見直すことが大切です。原因が家にあるなら、リフォームで間取りを変更することで、無駄なスペースやモノがなくなり、片付けやすくなり、意外にも一気に生前整理が行えるかもしれません。
例えば、子ども部屋だった部屋をウォークインクローゼットやファミリークローゼットにして、各部屋にあった衣類やタンスを一か所に集めて収納するなら、片付ける場所が分かりやすく動線もシンプルになります。何年も開けていない押し入れをリフォームして、寝室に近い位置にトイレを設けることも出来るかもしれません。片付けるために収納を増やすだけではなく、収納を減らすことで今の暮らしに必要なモノを見直し、管理しやすい適量にまとめることが出来て片付く家になります。
さらに中には、2階の部屋は物置になって使っていない、階段の上り下りが億劫だったり、転倒の危険があったりするため、2階建てをして平屋に減築するというお宅もあります。そもそも2階がなければ、転倒や落下、空き巣の心配も軽減されて安心です。
3. まとめ
長年暮らしてきた実家はモノが溢れがちで、片付けや整理が出来ないうえに、高齢期の親世代にとっては特に、転倒や骨折の危険も潜む家になってしまっているかもしれません。しかし、子ども達が親と一緒に片付けや生前整理を行おうとしても、愛着のあるものを捨てることへの抵抗や、喪失感からリバウンドしてしまいがちです。そもそも、今のライフスタイルにあっていない家そのものにモノが溢れる原因があるかもしれません。そのため、生前整理を兼ねたリフォームを行うのは効果的です。置き型家具は処分して、今の暮らしに合わせた適正量のモノを取り出しやすい高さや位置に収納できるように、造作収納を設けたり、間取りを変更したりすることで、安全で片付けやすい快適な暮らしを楽しめる家に出来ます。
大切な実家を長く維持しつつ、大事な家族が快適に安全に暮らすためのリフォームを行いましょう。

