元気な子どもたちやペットがいるお宅などでは特に、和室の襖が破れてしまい、何度も張り替えたりメンテナンスしたりするのが面倒と感じている方や、畳がある和室だけど、ベッドやソファなどの洋風家具を置いたり、洋風なインテリアに一新したりしたいという方は、襖を引き戸に替えれば良いのではないかと思っておられるかもしれません。しかし、和室の襖を、洋室で使われているような引き戸に替えてしまうと、見た目が変にならないか、そもそも襖部分だけのリフォームは出来るのか?と悩んでおられる方もいらっしゃいます。
そこで今回は、和室の襖を引き戸へリフォームしたいと思っておられる方のよくある疑問や不安に関して、リフォームのプロの視点から解決したいと思います。
1. 和室の襖を引き戸に替える時の疑問&心配あるあると解決策
まずは、襖を引き戸に替えたいと思っておられる方が抱いている、よくある疑問や心配を取り上げて解決策をご説明したいと思います。
■和室でも襖を引き戸にしてインテリアコーディネートは大丈夫?おかしくない?
和室でも襖以外の引き戸にすることは、インテリアのバランスに何の問題もありません。実際、最近の新築やマンションでは、和室の扉を初めから襖ではなく引き戸を使って、オシャレに、モダンにコーディネートしているケースは少なくありません。リフォームでも、色やデザインの組み合わせ次第で、おかしくなるどころか、オシャレな空間に一新することが可能です。
例えば、アルミ枠で採光部分にアクリルパネルが使われた引き戸にリフォームすれば、和空間にはない異素材との組み合わせで、和モダンな部屋にすることが出来ます。また、和の趣や温かさを大事にして、格子デザインの引き戸を使えば、ホテルライクな洗練された高級感のある部屋になります。
さらに、洋室と和室の間仕切りドアを襖から引き戸にするのであれば、部屋ごとの引き戸の表面シートデザインを変えることで、それぞれのインテリアに合う引き戸にすることも出来ます。
インテリアコーディネートが上手く出来るかどうかは、襖から引き戸というドアの種類が変わることよりも、どんな色やデザインを選ぶか、ということの方が重要ということです。
■今の襖の枠(レール)は活用できないの?
襖から引き戸にする場合、基本的には襖の枠である鴨居や敷居を撤去して引き戸用のレールに交換します。高さや開口幅は既存の襖に合わせることが可能ですが、一般的に襖と引き戸では扉の厚さや、レール枠のサイズや形状が違うため、扉を変えると襖の枠は活用できないからです。
しかし、Panasonicの『和室リフォーム引き戸』や、谷元襖工飾株式会社の『襖リフォームドア』という商品をつかえば既存の襖の枠を活用することが可能です。また、既存の襖紙の上から洋風な壁紙や木目調の襖専用のリメイクシートなどを貼って洋風な雰囲気にするという、襖そのものをリメイクする方法であれば、枠もそのまま使えます。既存の襖枠を活用できれば引き戸にするための枠の工事が必要なく、扉部分だけを交換すれば良いので、時間もコストも削減できるというメリットがあります。
ただし、襖の枠を活用できる厚みの扉にすると、一般的な引き戸よりも薄いので、重厚感に欠けてしまうかもしれません。リメイクシートを張る場合も、襖の上張りになるので襖自体が重く開閉しづらくなったり、丸型の襖ならではの取っ手のままで和風感が残ってしまったりする可能性もあるので注意が必要です。
さらに、和室の敷居を活用する場合は、敷居の段差が残るため、完全なバリアフリーにはなりません。一方で引き戸の中には、下のレールがない、上吊り戸タイプのものがあります。段差のない家にしたい、車椅子でも使いやすいようにしたい、という場合は、襖のレールを活用する方法は適していないかもしれません。
2. 襖を引き戸にするリフォームで後悔しないための注意点
ここからは、襖を引き戸にリフォームするうえで、失敗して後悔しないために、意識しておきたい注意点をご紹介したいと思います。
■『反り』や『建付け』の確認が大切!
DIYで引き戸に交換する方の多くが直面するトラブルは、柱や床、敷居の傾きや歪みに対応した建付け調整が行えないことです。築年数が古い家や、地震による被害を受けている家などでは、引き戸に交換したい面の柱や床、敷居が傾いたり歪みが出てしいたりしている場合があります。
襖であれば、軽く薄いため、多少の傾きや歪みがあっても、開閉に問題が無かったり、襖自体が反って枠の形状に対応出来ていたりするかもしれません。しかし、水平垂直が正確な既製品の引き戸にリフォームしようとすると傾いた柱との間に隙間が出来てしまいます。また、既存の敷居を活用して襖だけを交換する場合も、開閉時に途中で引っかかって動かなくなってしまったり、鍵の位置がズレて閉まらなかったり、上下や横に隙間が出来てしまったりすることもあります。現在、見た目では分からなくても、すでにある数ミリや数センチの傾きや歪みが今後ひどくなって引き戸の開閉に影響を与えてしまうというケースもあります。
そのため、出来るだけプロにお願いして、測定器などで計測してもらい、今の敷居を活用しても問題がないか、床や柱に歪みがなく問題なく引き戸に交換できるかを確認してもらいましょう。プロに確認してもらえば、必要な床や枠の補正や、建付けの調整を行ったり、既存の枠の寸法に合わせて扉をオーダーしてもらえたり出来るので失敗を防げます。
■『防音性』や『気密性』の変化を理解しておく!
一般的に襖は引き戸よりも厚みが薄いですが、実は防音性や気密性に優れています。そのため、引き戸にリフォームしたことで、以前と比べ防音性や気密性が下がって後悔したというケースは少なくありません。
襖は、木製の枠組みに和紙や茶チリ紙を重ねて貼り、最後に襖紙で仕上げた多層構造なので、内部の空気の層が吸音し防音材のような役割を果たしてくれます。また、紙の層で出来ているので、空気を適度に通す通気性と、室内の熱が逃げるのを防ぐ断熱性を持ち合わせています。しかも、襖の枠である鴨居(上の溝)と敷居(下の溝)にピッタリとはめ込む構造で、柱にも合うように調整して納めるので、上下左右に隙間が出来ず、音や空気の漏れが少ないという気密性もあります。
一方、リフォームで使われる引き戸の多くは、ベニヤ合板やアルミ枠にデザインシートを貼ったものが一般的で、音を吸収するどころか、反射させて響きやすくなってしまいます。また、構造的にもスムーズに開閉できるように上下左右に数ミリの隙間をあて持たせた造りになっています。特に、バリアフリーのために採用される上吊りタイプの引き戸は床との間に隙間が空くので、音も空気も漏れやすくなってしまいます。
そのため、引き戸にリフォームしたことで、隣の部屋の音が気になるようになったり、冷暖房の効きが悪くなったりすることがあります。寝室や勉強部屋、ワークスペースとして使う場合などは特に、防音性や気密性に変化が出ることを覚えておきましょう。引き戸にしても防音性や気密性を出来るだけ保ちたいのであれば、気密性や防音性に特化した商品を採用したり、襖をリメイクして活用するリフォームにしたりする方が、デメリットを軽減できます。
3. まとめ
和室であっても、襖から引き戸へのリフォームで、インテリアが変になることはありません。むしろ、目指したいインテリアテイストに合わせた色やデザイン、素材の引き戸を選ぶことで、モダンでオシャレな空間にすることが可能です。また、施工時間やリフォーム費用を抑えるために、既存の襖枠のままで、リフォーム専用の引き戸を活用することも出来ます。襖を引き戸にリフォームする場合は、リフォーム後もスムーズに開閉できるように、現状、柱や床、枠に傾きや歪みが無いかをプロを通して確認し、必要な補正を行ってもらうと安心です。また、襖と引き戸の構造の違いゆえに、引き戸に交換すると襖の時よりも、防音性や断熱性、気密性が低下する可能性があることも忘れないようにしましょう。
和室全体をリフォームせずとも襖を引き戸にリフォームして、オシャレな空間に一新してみてはいかがでしょうか?

