家を建てるには決めることが山積みになっていきます。マイホームを持つことは一生に一度とも言える大イベントにも関わらず、知識も少なく、ライフスタイルは人それぞれなので、正解というものもない、楽しくもあり難しい作業です。だからこそ、どこに依頼するかという点は重要になってきます。住まいづくりのパートナーとも言える専門家次第で、住みよい環境を手に入れることも出来れば、日々後悔を突き付けられるような暮らしになってしまうことさえあります。
安心して任せ、満足の出来る暮らしを手に入れるために、まずは、どんな専門家がいて、依頼するうえでどんな点を意識すべきなのか、家づくりのベースとなる会社の違いについてご説明したいと思います。
1.住まいづくりの専門家にも色々と違いがある!?
新築を建てるにあたって、どんな会社に依頼すれば希望通りのマイホームを手に入れることが出来るのでしょうか?大きく分けて3つの専門家とその特徴をご紹介したいと思います。
■コンセプトが分かりやすい『ハウスメーカー』
まず、ひとつめとして総合住宅展示場で名を連ねるような会社、ハウスメーカー(住宅メーカー)に依頼するという選択肢があります。ハウスメーカーは、自社ブランドとしてシステム化された、安定した施工技術や、断熱性や耐震性といった明確な品質を売りにしていて、コンセプトが分かりやすいというのが特徴です。
メーカーごとの基準があるため、建売物件や、間取りや設備機器がセット化されているセミオーダースタイルが多いのが特徴です。住宅展示場にモデルハウスがあることや建売していることから、実際に内覧出来るため暮らしをイメージしやすいことや、施工例が多く、参考にしたり、口コミを確認したり出来る安心感があるというメリットがあります。
一方で、一定の品質を保つことやシステム化されていることによって、デザインや設備機器の選択肢が少なく、自由度が低くなります。
また、セミオーダースタイルは、オプションごとに費用がかさみ高額になったり、全国展開しているハウスメーカーは、ステータスとも言えるネームバリューによって、広告宣伝費も含み高価格になりやすかったりするというデメリットがあります。しかし、ハウスメーカー同士で比較する場合や、新築の予算の目安を掴むうえで、メーカーごとの価格帯が分かりやすいという良さもあります。
■自由度が高い『工務店』
次に、ハウスメーカーよりも規模が小さい、地域密着型とも言える工務店という選択肢もあります。地域性を理解していることや、小規模で業務が細分化されていないことで担当者のフットワークが軽く親身になって打ち合わせを行える会社が多いことから、設計の自由度が高かったり、ハウスメーカーよりも安く建築できたりする傾向にあります。
ただし、設計士や大工を自社で抱え全てを行える工務店もあれば、営業がメインで設計や施工は下請けに頼むという工務店もあり、デザイン性や施工技術は会社によってバラつきがあるので、しっかりと見極める必要があります。中には、ハウスメーカーの下請けや設計事務所からの依頼で施工をしている会社もあり、そのタイプの工務店に頼むのが技術力も高く、価格も安く、満足のいく住まいを手に入れる一番の近道という場合もあります。
さらに工務店の中にも、得意分野や特化している分野があります。例えば、新築をメインに携わってきた会社もあれば、リフォームやリノベーションをメインで行ってきた会社、不動産業から新築も建てるようになった会社など様々です。リフォームやリノベーションをメインで行ってきた会社であれば、建てた後もメンテナンスやリフォームなど、トータルサポートをしてくれる安心感や、ライフスタイルの変化に応じてリノベーションを依頼しやすいというメリットがありますし、不動産に強い会社であれば、自社で土地を管理していて選択肢が多かったり、将来家を賃貸したり売ったりしたい時にスムーズに取引できるという安心感があります。
■イメージをカタチにする『設計事務所』
デザイン力や提案力を求めるのであれば、設計事務所が最適です。漠然としたイメージを図面に起こし、カタチにしてくれたり、デザイン性のある提案をしてくれたりします。完全オーダーメイドが可能でライフスタイルにピッタリの住まいづくりを提案してもらえます。過去に建てた住宅や建物のデザインやコンセプトを気に入って、設計士に依頼するというケースも少なくありません。
設計事務所は、設計デザインを担当する専門家なので、土地探しは自分で行わなければいけません。さらに施工のために工務店にも別で依頼することになります。設計事務所から紹介してもらうこともあれば、自分で工務店を決めることも出来ます。そのため、良い設計事務所を見つけても良い、施工業者でなければ設計通りの希望の家にならない可能性があります。ただし工事が始まると、設計事務所は現場監督として第三者目線でチェックしてくれるという良さがあります。知識のある専門家が設計図通りに施工されているか厳しくチェックしてくれるのは安心です。
しかし、ハウスメーカーや工務店と違い、設計料と施工費が別途かかることになります。また、設計図が完成してから工務店に見積りを出し調整を行うため、工事に入るまでの期間が長くなる傾向があります。
2.住宅展示場を賢く活用するには?
新築を依頼するには、ハウスメーカーや工務店、設計事務所という選択肢があることは分かりましたが、どんな点に注意すれば良い選択が行えるのでしょうか?家づくりをする時に多くの方が足を運ぶ住宅展示場をどのように活用すればよいのか、ポイントをご紹介したいと思います。
■住宅展示場よりも先に理想の暮らしをイメージしよう!
家を建てるにあたって、建売ではない場合は実際に室内を見ることが出来ないためハウスメーカーが建てている住宅展示場に足を運ぶ方は少なくありません。ハウスメーカー以外の工務店や設計事務所に依頼する場合でも、イメージを明確化するうえで、展示場を内覧することは役立ちます。しかし、説明を聞いたり、立派なモデルハウスを見たりして、こんな家にしたい!と理想が膨らむかもしれませんが、住宅展示場に行く場合には注意が必要です。
住宅展示場に常駐しているスタッフの多くは、家を売ることが専門の営業職の人が多く、各ハウスメーカーの自社商品に特化した営業トークが行われます。家の構造やデザインに特化した建物の専門家は少ないので、新築全般に対してのアドバイスではなく、家を売るためのセールストークを、全ての家に当てはまると思って聞いてしまうと偏った見方をしてしまい、選択肢が狭まる可能性があるので注意が必要です。
そのため、とりあえず住宅展示場に行ってみよう、という思いで行くのではなく、ある程度ホームページを見たりカタログなどを請求して確認したりしたうえで、各社を比較するために行ったり、家を建てる理由や、どんな暮らしをしたいのかなど目的を意識したりしたうえで行くようにすることで、各社のセールストークを受けても冷静に現実的な内覧を行うことが出来ます。
せっかく実物を見ることが出来るので、営業トークに翻弄されるのではなく、自分の暮らしの理想に近いデザインや構造、間取りを見たり、建材を触ったりすることを意識して、どんな部分をマイホームに取り入れることが出来るかを検討しましょう。
3. まとめ
マイホームを新築する場合は、大きく分けてハウスメーカー(住宅メーカー)や工務店、設計事務所に依頼することが出来ます。ハウスメーカーは独自ブランドでシステム化されているためコンセプトや価格帯が分かりやすく、施工例やモデルハウスが多いためイメージしやすいというメリットがあります。工務店は地域密着型で、自由度が高いうえに価格が安く、良い工務店を選べば施工技術が高いというメリットがあります。設計事務所は、デザイン力や提案力が高く完全オーダーメイドの家が建てられること、現場監督として第三者の厳しいチェックをしてくれるため安心というメリットがあります。
ハウスメーカー、工務店、設計事務所、それぞれにメリットとデメリットがあるので、しっかりと比較して信頼できる専門家に依頼しましょう。