築年数が古くなったり、家族構成やライフスタイルに変化があったり、中古物件を購入した時などには、スケルトンリフォーム・フルリフォーム、大規模リノベーションなどを考えるかもしれません。しかし、いざリフォーム会社に依頼しようと思ったら家の図面が見つからなかったり、寸法の入っていない不動産用の間取り図しかなかったりする場合があります。間取りや仕様など、色々考えたいと思っているのに図面が無いと不便です。また、図面のない状態でリノベーションをどのように依頼して良いものか、そもそも依頼出来るのだろうかと悩む方もいらっしゃいます。
家の図面が無くてもリノベーションを行うことは出来るのでしょうか?どのように打ち合わせを進めるのか、また図面が無い状態でリノベーションを依頼する時の注意点をご説明したいと思います。
1.築古物件では正確な図面が無い家が半数以上!
リフォーム会社に依頼するうえで、図面を準備しておく必要はあるのでしょうか?ご説明したいと思います。
■リフォーム・リノベーションは図面なしスタートが大半!?
リノベーションを行うにあたって図面がないことで不安を感じ、中には自分で間取り図を描いて用意される方もいらっしゃいます。しかし、リノベーション工事を行うような築年数が経っている物件の多くは、図面が無い状態での依頼が一般的です。あるはずだけど、どこにあるか分からずリノベーション前の引っ越しの際に出てくるというケースも少なくありません。
また、図面は残っているものの、増改築を繰り返して現状の家の形と変わっていたり、そもそも図面通りに建てられていなかったりと、現状の家の正確な図面ではないお宅が大半です。そのため、リフォームやリノベーションでは特に一般的で、図面が無くても依頼をするのに問題はありません。
■現地調査で図面の作成が可能!
リフォームやリノベーションの依頼を受けた会社は、家に調査に行きます。既存の家の状態を確認し、図面が無い場合は間取りを確認し、寸法を測るので、既存図面を起こすことが可能です。そのため、事前に設計事務所など別の専門会社に図面のみの作成を依頼したり、自分で間取りを書いて準備したりする必要はありません。
リノベーションを行うことを決めたのであれば、まずは現状を見に来てもらい、プロに寸法を測ってもらい、図面を起こしてもらいましょう。2回目以降の打ち合わせですぐに、既存図面とプラン図面を作成してもらうことも出来ますし、既存図面を見て自分なりに要望を整理したいという方は、既存図面だけをひとまず作成してもらうことも出来るかもしれません。
2.図面が無い状態からリノベーションを依頼する時の注意点
既存の正確な図面が残っていない家が大半なので、図面無しスタートでも問題ないとはいえ、満足度の高いリノベーションを行えるかどうかは、依頼する会社や、打ち合わせの進め方などに大きく影響するので、注意が必要です。ここからは、図面が無い状態からリノベーションを依頼するうえでの注意点をご紹介したいと思います。
■既存図面・プラン図面が曖昧な会社には注意!
昔は、大工さんは図面が無くても、施主の希望を聞きながら現場合わせでリフォームやリノベーションを行っていた時代があります。そのため、中には昔ながらの職人さんに直接依頼すると、簡単なスケッチのみで打ち合わせを進めたり、口約束でプランを決めていったりすることがあります。その家の新築に携わった大工さんであればなおさら、家の造りを知っているので図面が無くても問題なく工事が出来ると思うかもしれません。しかし、リノベーション後の家に住むのは工事を行う職人さんではありません。自分のライフスタイルに合わせた快適で使いやすい家にリノベーションするためには、よく吟味してプランを考え、イメージが形になっているか図面を通して確認しながら打ち合わせを重ね決定していく必要があるので、プラン図面は絶対に必要です。図面が無くても職人さんが工事を出来るかどうかではなく、後悔のないリノベーションを行うためにプラン図面を作成してもらいましょう。
しかも、2025年4月から建築基準法が改正され、木造2階建て以上の戸建て住宅や平屋であっても延べ床面積が200㎡を超える住宅が間取りを変更するなどのフルリフォームやリノベーションをする場合は、確認申請が義務化されるようになります。確認申請には、寸法の入った正式な図面が必須です。
イメージは伝わっているので、大工さんにお任せすれば大丈夫と言って図面を作成しなかったり、図面作成には費用がかかるので、スケッチで打ち合わせを行いながら進めていこうとしたりする会社には注意しましょう。リノベーションを行うにも関わらず、図面を作成してくれないということは、建築基準法に基づいて正式な手続きや施工が行われていない証拠とも言えます。そのため図面作成の有無は、正式な手続きを行ってくれる会社かどうかの最低限の判断基準となります。
■解体しないと分からないこともある!
現場調査を行い、床下や天井裏などからも確認して、既存の図面を作成しますが、壁の中の柱の位置や天井内の梁の位置、基礎の状態や給排水管、電線などの見えない部分は、解体しないと分からないというケースがあります。リノベーションの間取りによっては、その見えない部分がプランに大きく影響する場合もあるので注意が必要です。
例えば、壁を解体しなければ、柱や筋交いが実際に入っているか、その柱や筋交いが耐震性にどれぐらい影響しているかが分からないことがあります。既存の部屋の広さや構造の種類、天井裏からの目視などによって柱の位置や筋交いの位置を想定することが出来ますが、正確ではないため断言できないことも少なくありません。そのため、間取り変更を行ったり、間仕切り壁を撤去して広い部屋にしたりしたい場合、壁を撤去しても、柱や筋交いが残ってしまうかどうかは、解体しなければ分からず、解体まで希望通りになるかはっきりしないということがあります。
また、マンションのリノベーションなどで天井や壁の内装材を剥がして、コンクリートをそのまま見せる躯体現しを希望される方の中には、内装材を剥がしたら工事の跡が残っていたり、配線がまとまっていなかったり、汚れが目立ったりして、思った雰囲気ではないという時もあります。これも、図面上では分からない、内装材を剥がしてみないと判断できない部分です。
構造上や耐震性能上、また劣化具合などにより希望通りにならないこともあるので、解体するとどんな可能性があるかを出来るだけ教えてもらい、数パターンを想定したプラン、図面やパース、見積書を作成してもらうことで、イメージ通りにならなかった、という後悔を避けることが出来ます。
3. まとめ
築年数が経っているお宅では、寸法が入った図面が残っていないというケースが少なくありません。図面はあっても、寸法が入っていない間取り図だけだったり、増改築によって既存の間取りや寸法と違ったりする場合もあります。しかし、図面がない状態でもリフォーム会社にリノベーションを依頼しても問題はありません。依頼を受けたリフォーム会社は、現地調査を行い、正確な寸法の図面を起こしてくれます。図面が無くてもリノベーションが行えそうに思えても、大掛かりな工事になる場合は特に、建築基準法に基づいて図面が必要な確認申請を行う必要がありますし、そもそも図面無しでプランの打ち合わせを進めていくのは後悔が多いノベーションの原因になりえます。解体しなければ分からない部分もありますが、既存図面とプラン図面は最低限作成してもらったうえで、打ち合わせを進めましょう。