キッチンのリフォームをしようと思うと、まずはキッチン本体に注目するものです。設備やデザインをもとに好みのメーカーやグレード、オプションを選んでキッチンを決めます。また、キッチン本体の価格を通して、リフォーム費用の目安を検討するかもしれません。しかし、実際にキッチンリフォームの見積書を見ると、思ったより高くなった、キッチン本体以外にも意外とお金がかかってビックリした、という方も少なくありません。

予算内で満足のいくキッチンリフォームを行ううえで、どんな部分にお金がかかるのか、こだわりのキッチンを手に入れるために、どこを削って、どこにはお金をかけるべきなのか、キッチンリフォームの予算の組み方のポイントをご説明したいと思います。

1.予算内でキッチンにこだわってリフォームするには?

費用を抑えつつも、使いやすく満足のいくキッチンにリフォームしたいものです。出来るだけ希望に沿ったキッチンを予算内に収めるためには、どんな点に注目すれば良いのかを、ご紹介したいと思います。

■キッチンにこだわる=費用が高くなる、わけではない!?

キッチン選びは、こだわればこだわるほど高くなると思うかもしれませんが、価格に違いが出てくるのは、どれだけこだわるかどうかよりも、何にこだわるかという部分です。そして何よりも、自分にとってこだわりたいのはどんな部分か、という点をハッキリさせておくことが最重要です。

最近は、SNSにリフォームなどの家づくりの情報が溢れているので、情報を得る度に、良さそう!という理由だけでキッチンのグレードが上がったり、オプションを付けたりしてしまう方が増えています。キッチン本体は最新の設備機器を搭載し、デザイン性が高いものになるかもしれませんが、そのキッチンが自分にとって使いやすいもの、優先すべきこだわりポイントがあるものでは無くなるケースは多く、キッチンの本体価格だけが高くなってしまう場合もあります。

実際には、ハイグレードではなくても、自分にとって理想的なシステムキッチンがあるかもしれませんし、あるメーカーではオプションになる仕様が、メーカーを変えれば標準仕様の場合もあり、価格が高いものが自分のこだわりを反映したキッチンになるとは限りません。まずは、理想とするキッチン像や求める使いやすさを具体的に書き出したうえで、その項目にあてはまるメーカーやキッチンを選ぶことを意識しましょう。

また、こだわって作るオーダーメイドキッチンも高くなるイメージがありますが、材料や仕様、設備など細かな点までこだわって選ぶことが出来る分、予算内で作ることが出来るというメリットもあります。比較するシステムキッチンのグレードによっては、オーダーメイドで作る方が、自分にとって不要と思える設備などを省き、無駄のない納得がいくキッチンを低価格で仕上げることが出来るかもしれません。

■今のキッチンとの違いが大きければ大きいほど費用も高くなる!

今のキッチンと同じサイズで同じカタチのキッチンを選ぶ交換リフォームであれば、水栓や換気扇の位置などが変わらず工事の範囲が限定されるためキッチン本体のみの費用をメインで考えることが出来ます。しかし、今のキッチンとの違いが大きいリフォームになると、キッチンリフォーム全体の費用も高くなります。

例えば、今あるキッチンよりもサイズが大きくなると、キッチン本体の価格は全体的に高いものから選ぶことになります。また、ガスコンロをIHコンロに変えるのであれば、ガス管を撤去したり電気を配線したりする作業が必要となり工事費があがります。換気扇の種類が変わるだけでも付属の工事がかかってきます。

さらに、壁付けキッチンを対面キッチンにするなど、場所を移動したりキッチンの種類が変わったりすると、撤去した部分の壁や床の工事、新設するところに水道、ガス、電気を持ってくる作業が必要となります。移動距離が遠ければ遠いほど、キッチンリフォームは大がかりになり費用も高くなります。

しかし、出来るだけ今の環境と差が出ないようにすることで、キッチンリフォームの費用を抑えることは出来ますが、使い勝手を良くしたり、間取りを変えたり、デザイン性を良くしたりしたいと思う場合は、費用優先にすると後悔の残るキッチンリフォームになってしまいます。

ですから、キッチンを移動させたり種類を変えたいと思っている場合は、今のキッチンの配置と移動距離が短くなるようにレイアウトしたり、換気扇や水栓の位置は同じで向きを変えたりすることが出来ないか、場所やサイズ、カタチを変えて数プラン出してもらい、リフォーム費用に違いが出るか確認してみるのは良い方法です。

2.キッチンリフォーム費用全体を考えてプランニングする!

キッチン本体以外にも、リフォーム工事に伴って費用がかかります。どんな工事が必要となるのか、どこで費用差がでてくるのかをご説明したいと思います。

■キッチン本体以外の工事でも費用を考える!

先に取り上げたように、キッチンリフォームの範囲が広くなればなるほど、リフォーム費用も高くなってしまいます。しかし、必要な工事内容は変えられません。その場合は、床や壁のリフォームする範囲を限定したり、素材を選んだりすることで、費用を抑えることは出来るかもしれません。

例えば、高価なタイルは、壁全体に使わずにアクセントとして部分的に使ったり、キッチン周りの床だけあえて素材を変えて費用を抑えたりすることが出来るかもしれません。

さらに、キッチンの位置を移動させるようなリフォームを行うのであれば、床や壁、照明やコンセントの位置も変わるので、キッチン単体でリフォームを行うよりも、内装リフォームや間取りを変えるリノベーションとまとめてキッチンリフォームを行う方が、リフォーム全体の人件費や大工工事の材料費、運搬費や養生費の削減が出来ます。しかも、部分的に継ぎ接ぎのようなリフォームではなく、一気に全体を行うことで完成後の出来栄えも良くなります。

キッチンリフォームを行う際には、他のリフォームやリノベーションとまとめて費用の削減が出来ないか、時期を検討してみましょう。

■リフォーム費用だけ、今だけ、に注目しない!

予算内でリフォームを行うことは大事ですが、金銭面ばかりにとらわれるのは危険です。高いキッチンには、それなりの理由があることも覚えておかなければいけません。

例えば、キッチンの本体価格が高くなったぶん、汚れが付きにくく掃除がラクになれば家事の時間が短くなるかもしれません。強度があり、不具合が起こりにくい仕様であれば、キッチン自体の寿命が長いので、定期的なリフォーム費用を削減出来ます。キッチン周りの内装材においても、メンテナンスをしながら長く使える素材を選ぶ方が、今後のリフォーム費用がかかりません。

また、節水機能や節電機能が付いているものであれば、日々の光熱費を抑えることが出来て、数年単位でみれば、少し高かっただけの費用を取り戻すことも出来るかもしれません。

1回のリフォーム費用、初期費用だけに注目せずに、生活費や今後のリフォーム費用など暮らし全体を通したマネープランを立てたうえでキッチンリフォームの予算を考えることは、結果的にお得に満足のいくリフォームに繋がります。

3. まとめ

満足のいくキッチンリフォームを行うためにこだわってキッチン選びをしたいと思うものですが、注意しなければ予算オーバーになってしまう可能性があります。しかし、だからと言ってこだわらないようにするのではなく、むしろ理想のキッチン像やキッチンに求める使いやすさを具体的に挙げて、ライフスタイルに合わせたこだわりの中でキッチンを選ぶことが大切です。それを実現するためにオーダーメイドキッチンという選択肢もあります。また、キッチンを移動させる際には、既存のキッチン位置に出来るだけ近いレイアウトにしたり、内装リフォームやリノベーションとまとめて行ったりすることでキッチンリフォームの費用を削減できるかもしれません。さらに、1回のリフォーム費用だけに注目せずに、今後のリフォームの頻度やメンテナンス、ランニングコストを踏まえたうえでキッチンリフォームの予算を考えることも重要です。

こだわれば高くなる、高いものは良いもの、という考えは捨て、ライフスタイルに合ったキッチンにこだわり、予算内で最良のリフォームを行いましょう。

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