住宅の欧米化が進み、和室が初めから無いという家が増えています。その流れも相まって、リフォームでも和室を洋室にするリフォームは人気です。しかし、よく検討しないまま洋室に替えたために、後で後悔するという方も少なくはありません。和室と洋室では実は構造が違うので、見た目以上に大掛かりなリフォームとなります。簡単にやり直しがきかないリフォームだからこそ、後悔しないために和室を洋室にリフォームする前にメリットとデメリットを確認しておきましょう!

1. 和室を洋室にリフォームするメリットは?

ではまず、リフォームする目的ともなるメリットから見てみましょう!

ランニングコストを抑えられる

和室に使われる材料は、傷付きやすいものや、劣化が早い素材が多く用いられています。例えば、建具で比較すると、洋室に使われている木のドアに比べ、和室では紙で出来た襖や障子が使われているので破れやすかったり、色褪せも目立ちやすかったりします。和室のままでは、数年置きに襖や障子の張り替え、床も畳替えが必要でランニングコストがかかります。しかし、洋室にリフォームしてしまえば、ドアやフローリングの定期的なやり替えがほとんど必要ないため、ランニングコストをおさえることが出来ます。洋室の床材や壁材をリフォームする時は、家全体のリフォームのタイミングと同じぐらいになるので、工期や費用を抑えられるというメリットもあります。

掃除がしやすい

畳は、飲み物など液体のものをこぼすとしみ込んでしまったり、柔らかい素材ゆえに、家具などの重たいものを置くことで跡が残ってしまったりします。また、和室は傷みやすい素材が多いので、こまめな手入れが必要となります。しかし、一般的に洋室に用いられるフローリング材は、表面に加工が施されており水拭きにも対応しているので掃除がしやすくなっています。傷がつきにくいので掃除機やモップ、ほうきなど使える掃除道具や洗剤が多いのもメリットです。

バリアフリー・介護に向いている

座卓スタイルの和室は、立ったり座ったりする動作によって、足腰に負担がかかりやすいため、年齢を重ねるごとに、椅子の生活を希望するようになる高齢の方は少なくありません。その点、洋室はテーブルスタイルで、足腰への負担が軽減されるうえ、床材は椅子を動かしても床に傷がつきづらいというメリットがあります。仮に介護が必要になった場合でも、和室の敷居のような段差が洋室にはなく動きやすいため、車椅子にも適しています。さらに、介護ベッドを置くことで、かがみこんで介護をせずにすむことや、掃除のしやすさから介護者の負担も軽減されます。

2.和室を洋室にリフォームするデメリットは?

リフォームには、メリットがある反面、残念ながらデメリットが生じる場合もあります。次にデメリットについても確認してみましょう。

リフォーム後の部屋が狭く感じる可能性がある

昔ながらの和室の壁の構造は、真壁といって柱が見える造りになっています。それに対し、洋室の壁は大壁といって柱を覆うように壁を造るため、柱が露出しておらず構造が違います。そのため、畳をフローリングに替えるだけの床のみのリフォームの場合は特に変化はありませんが、壁も洋室の造りに変更する場合には、柱を隠すように壁を造るので、数ミリずつ部屋の内側に壁が出来る事になります。全体では、数センチの変化ですが、リフォーム後に狭く感じる場合もあります。

しかし、洋室にリフォームすることで柱が見えなくなって真っ白な壁が続くことや、和室ならではの木天井を、白のクロスに張り替えることで、部屋全体が明るくなり、視覚的に広く見える場合もあります。床だけでなく部屋全体をリフォームするのか、どんな色でコーディネートするのかによって見え方が変わることを考慮に入れておきましょう。

調湿効果や防音性に劣る

最近の畳は樹脂製のものも増えてきましたが、藁と藺草で出来た本来の畳には調湿効果があります。また和室の壁として一般的だった砂壁も調湿効果や空気を浄化する作用があります。そのため、和室に使われている材質そのものが、快適空間にしていた場合、洋室にすることでカビやすくなったり、冷えやすくなったりする場合があります。また、クッション性がある畳に比べ、固いフローリングは防音性に劣ります。洋室にリフォームしたことで、下の階に音が響くようになったという方や、素材感から足元の冷えを感じるようになったという方もおられます。洋室にする場合には、材質に注目してリフォームしましょう。

部屋の用途が狭まる

洋室にリフォームした後に、和室の良さに気づくということもあります。その良さといえば、和室は幅広い用途に使えるという点です。和室を寝室として使う場合は、布団なので押入れにしまうことが出来ますし、直接畳に座ることが出来るので、人数分の椅子を置く必要もなく、洋室と比べ表に出る家具が少ないのが和室の特徴です。そのため、比較的部屋を広く使え、座る人数が限られません。クッション性の高い畳は、直で寝転がることもでき、昼寝や子供を寝かせることも可能です。畳は転倒しても安全だからと、幼い子供が遊ぶスペースとして用いる方も少なくありません。そのため、洋室にリフォームするにあたって、用途を明確に決めていない場合には、和室に比べ用途が狭まったと感じる可能性があります。

3. まとめ

和室を洋室にリフォームすることには、メリットだけでなくデメリットもあります。しかし、それがメリットかデメリットになるかは、家の造りや家族構成、生活スタイルによっても異なります。また、選ぶ素材によってもデメリットを補うことが出来ます。自分の家や環境を考慮に入れて確認し、後悔のないリフォームに繋げて下さい。

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