家の図面を見ると普段は見慣れていない記号が入っている時があるかもしれません。記号が多く入る設備用の図面ではないにも関わらず、間取りにPSやDSと書かれた空間がある場合もあります。リノベーションの際には、PSやDSと書かれた空間を使えば、もう少し水回りが広く出来そうだったり、移設すれば理想の間取りになりそうだったりすることもあるかもしれません。そもそも、無くしてはいけないのか、と思う方もいらっしゃいます。

ここでは、PSとDSとは何か、家づくりの際にどのように関係してくるのかについてご説明したいと思います。図面記号を知って、賢い家づくりに繋げましょう!

1.PS・DSって何?

平面図に載っているPSとDSとは何なのでしょうか?この空間が表すものと、図面を見る時の注意点をご紹介したいと思います。

■家には欠かせないスペース

『PS』とは、パイプシャフトもしくはパイプスペースと呼ばれ、給水管、排水管などの水や、ガス管のためのパイプを通すためのスペースのことです。そのため、水回り設備機器のまわりに設けられることが一般的です。また、『DS』とはダクトシャフトもしくはダクトスペースと呼ばれ、換気や給気、排気、空調のための空気のダクトを通すためのスペースのことを指しています。DSは定期的なメンテナンスが必要となるため、ダクトの状態が確認できて、清掃や点検がしやすい位置に設けられます。

PS・DSのどちらも、階やフロアをまたいだ縦方向に繋がる空間で、壁で囲われていて居室として使うことは出来ません。また、配管設備を設置するために家には欠かせない空間なので無くすことは出来ません。

(※DSをデッドスペースの略として記載する設計士もいますが、この記事では、ダクトスペースとして扱います。ダクトスペースとデッドスペースでは空間の重要度が違うので、図面を見る際にはどちらのことかを確認しておきましょう。)

■不動産用間取り図には載っていないので要注意!

間取りが分かるような図面でも、中にはPSやDSを記載していないものがあります。中には、壁に囲われた空間があるにも関わらず、PSやDSと記載していないだけだったり、柱の一部や壁の一部のように書かれていたりすることもあります。そもそも空間を省いてシステムバスを設置している空間や洗面脱衣所の一部のように書いている図面もあります。また、不動産用の図面は間取りが分かれば良いという考えが一般的で、リフォームやリノベーションなど工事のための図面ではないので、多くの場合PSやDSの記載がありません。しかし、必要な空間で、配管のための十分なスペースがとられているので、実際の家の中は間取り図よりも壁が手前にあったり、空間が無く狭く感じたりすることもあります。

間取りを確認するだけであれば意識しておく必要はありませんが、リフォームやリノベーションなど家づくりに関しては重要な部分なので、図面に記載があるか、無い場合はどこにあるかを詳細図面を見たり、プロを通して確認したりしておきましょう。

(※平屋など2階以上のフロアがない建物では、天井裏や床下などを通すため、平面上では空間として必要がないので、平面図には記載されていない場合が少なくありません。)

2.PSとDEを意識して賢い家づくりをしよう!

PSとDSを知っていることは家づくりにどのように影響するのでしょうか?リフォームやリノベーションに関係するトラブルを防ぐ方法や、役立つ知識をご紹介したいと思います。

■集合住宅では基本的に動かせないスペース!

集合住宅は上下階の階をまたがって給排水管やガス管、空調のためのパイプが繋がっているため、各フロアの同じところにPSやDSがあります。共有部分となる排水管や排気口を動かすことは出来ないので、PSやDSがあるスペースは、持ち家であっても自由に動かせないため、リノベーションで間取りを変える際には注意が必要です。

また、PSやDSの記載がなく、把握していないと、取れると思っていた壁や広げられると思っていた空間にPSやDSが隠れていて、壁を取っても広くならないこともあります。そのため、PSやDSの位置を意識しておくことは重要です。

中には、集合住宅の中古物件を購入してリノベーションをしようと思っていた方が、自由に間取りを変えられる予定で購入したものの、水回りの移動に制限があり、理想の間取りにならなかったというお宅もあります。部屋の位置は比較的自由に動かせても、PSやDSの位置はもちろん、水回り設備機器の位置も大きく動かせないことが多いので注意が必要です。

集合住宅のリノベーションで理想の間取りを手に入れるためには、水回りが理想の位置やカタチに比較的近いものを探すことがポイントです。また、マンションの規約や管理組合に、水回りをどこまで移動させることが可能かを前もって確認しておけば安心です。さらに、不動産用の間取りには記載がないことが多いので、物件探しの際に、リフォームやリノベーションのプロに同行してもらい、PS・DSの位置を確認することや、移設の問題がないかを確認しておくことで、購入したものの理想通りにならない、という後悔を避けられます。

■PSの位置を理解してお得にリノベーション

PSの位置を知っていることはリノベーション費用を抑えるうえで役立ちます。

集合住宅の場合、配管さえ通せば自由に水回りを移設できる場合もあります。しかし、PSは給排水のためのスペースなので、水回り設備がPSから離れれば離れるほど、給排水管が長く必要になり費用もかかります。場合によっては、給排水管を通すための新たなPSを作ったり、水が流れるように勾配を付けるために床を高くしたりする必要があり、部屋が狭くなったり段差が出来たりもします。配管代だけではなく、壁や床を作り直す費用もかかり、工事費が高額になってしまうこともあります。

そのため、間取りを変える際には水回りをまとめることや、設備機器を移設させる時はPSに出来るだけ近い位置にレイアウトすることなど、PSの位置を意識しておくことで、費用の点で賢いリノベーションが行えます。リノベーション費用を下げたい場合などは、水回りをもっと近づけることが出来ないか、PSから遠くなっていないかを確認して、水回りのレイアウトを見直すことで費用削減できないかを相談してみましょう。

3. まとめ

平面図に記載されているPSとはパイプスペースのこと、DSとはダクトスペースのことを指しており、階をまたいだ縦方向の空間です。水やガス、空気の配管を通すスペースなので、家には欠かせない空間ですが、不動産用間取り図などでは記載がない場合もあり注意が必要です。PSやDSの位置を知っておくことは、実際の家の広さや、リノベーションで動かせない空間を把握したりするうえで役立ちます。また、水回りをまとめたりPSに近づけたりすることで工事費用を抑え、賢くリノベーションするうえで役立ちます。

PSやDSを含め、図面記号や役割を知って位置を確認することで、賢くお得に家づくりを行いましょう!

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