何もないところから家を造り上げていく新築と違い、今ある家を修繕したり、既存の状態を活かしてより良い家に造り上げたりするリフォームやリノベーションには、リフォームならではの問題点が潜んでいます。その中でも、リフォームあるあるとも言えるのが、壁を壊してみないと分からない、解体や工事が始まってみないと分からない部分があり、時にはその部分に問題がある時もあります。説明を受けて、頭では理解しているものの、実際に直面すると、リフォームのプロなのに本当に分からなかったのだろうか?と不信感を抱いてしまう場合もあるかもしれません。工事が無事に終わっても、不信感が拭えないということもあり得るので事前に心構えをしておくことは大切です。
そこで今回は、リフォームで起こりえる解体後のトラブルについて、また、トラブルを出来るだけ軽減するために出来ることをご説明したいと思います。
1.図面や見た目だけでは分からない問題は意外と多い!?
プロでも、図面や見た目からでは分からない部分、どのような問題点があるのでしょうか?リフォームに多い、解体後のトラブルを2つご紹介したいと思います。
■給排水管の劣化具合
壁や床の内側にある給排水管の劣化具合は目に見えないものの、リフォームに影響を与える重要な部分です。築年数やリフォームの頻度や内容から、劣化具合や不具合が生じやすい時期を想定することは可能ですが、どの家にもあてはまるわけではありません。壁や床を解体して給排水管が見えるようになって初めて、予想以上に劣化していたり、故障していたりするということがあります。築浅であっても、地震の影響で亀裂が入っていたり、施工不良を起こしていたりすることもあり、想定外の工事に繋がるかもしれません。
本来、キッチンやシステムバスやトイレなど設備機器だけを交換するリフォームの予定だったのが、給排水管の取り換え工事を行う必要が出たり、劣化や破損具合によっては、水漏れが既に生じていたりして、天井裏や床下の構造部分からの修繕が必要となり、大規模工事になってしまうケースもあります。
■図面通りではない構造
戸建のリフォームでよくあるのが、柱や梁、筋交いなどの構造体が図面や一般的に考えられる位置に入っていないということがあります。築年数が古いと特に、図面が残っていないということもあり、建物にとって大事な構造部分が見た目では分かりづらい場合が少なくありません。増築やリフォームを行った部分だけ、寸法が変わっていることもあり、図面が残っていても、図面に記載されている内容と間取りや寸法、柱の位置が違うということはよくあります。
しかし、柱の位置によっては、図面通りではなかった、では済まされない場合もあります。2階や屋根を支えるような柱の場合特に、家の耐震性に影響を与えてしまうため、補強工事が必要になったり柱を移動させたりする必要があるかもしれません。その結果、思っていた通りの間取りに出来なくなったり、オープンにしたかった部屋に柱が残ってしまったりするということもあります。
2.リフォームのよくあるトラブルを可能な限り軽減するには?
解体をしてみなければ分からない、工事をしないと何とも言えない、ということが起こりえるリフォームですが、それでも起こりえるトラブルを想定して問題を軽減することで、出来る限りスムーズに、満足のいくリフォームを行うことは可能です。どんな点に注意しておくと良いのかポイントをご説明したいと思います。
■現調をプロにしっかりしてもらう!
上記でも取り上げた、図面通りの位置に柱や梁が入っていないという問題点は、床下や天井裏から、柱や梁の位置などが確認できる場合も少なくないので、図面だけに頼らずに、プロにしっかり現調(リフォームのための家屋調査)を行ってもらうことが大切です。
床下や天井裏を確認することで、給排水管の劣化による水漏れや雨漏りが発見出来る場合もありますし、床のきしみや扉の開閉のし辛さや音、壁のカビなどから見えない部分の問題点を発見できる場合もあります。細かな現調は表からは見えない問題に事前に気づけたり、トラブルを最小限におさえたりするうえで効果的です。
しかも、知識がある担当者であれば、解体後に起こりうる問題点を事前に教えてくれたり、その場合の見積りを出してくれたりもします。解体してみないと分からない、仮に問題が分かっても、見た目では分からなかったから仕方ない、という会社ではなく、見えない部分にどんな問題が潜んでいるかを、現調の時点で教えてくれる会社に依頼しておくと安心ですし、実際に問題があっても迅速な対応を期待出来ます。
■予算は多めに工期は長めに取り分ける!
工事が始まって、問題点が分かると追加工事が必要になるケースは少なくありません。その場合、追加工事の費用も当然かかってしまいます。既に見積りにその場合の工事費を想定して入れている場合は問題ありませんが、想定できていない場合は、リフォーム費用が追加必要になるということです。
そのため、ギリギリの予算で準備していると、必然的に必要となる修繕や補修といったトラブルを解決するためのお金が最優先され、やりたかったことを我慢しなければいけなくなったり、次回のリフォームにまわさなければいけなくなったりして、後悔の残る工事になるかもしれません。
また、工事が必要になるということは、リフォームの期間も延びるということになります。完成させたい日が決まっているのであれば、早めに工事に入り、余裕をもって工事が行えるようにしておきましょう。
打ち合わせの段階で、解体しないと分からないことがあると分かったのであれば、問題があった場合はいくら追加費用がかかり、どれぐらい工事が延びる可能性があるのかを、前もってリフォーム会社に教えてもらいましょう。尋ねた際に、過度に曖昧にしたり、分からないので答えられないと言いきったりする会社は、リフォームの知識が少ない可能性があるので要注意です。不安要素にしっかりと答えてくれるか、すぐに答えられなくても、調べて後日答えたり、出来る限り調査して不安を軽減できるような対応をしてくれたりする会社に依頼すると安心です。
3. まとめ
リフォームやリノベーションは、既にある建物を工事することになるので、見た目や図面からは分からない部分があります。壁や床を解体して初めて給排水管の劣化具合が正確に分かったり、図面に記載されている位置に柱や筋交いが入っていないことが分かったりするケースは少なくありません。しかも、劣化によって水漏れが発生していたり、耐震性に影響する構造体が入っていなかったりと、トラブルが潜んでいることもあります。分かりづらい部分があっても、知識のあるプロに出来るだけ細かく現調をしてもらうことや、予算を多めに、工期を、余裕をもって取り分けておくことで、トラブルを軽減し、仮に問題があっても不安なく確実な対応が出来ます。
リフォームあるあるとも言える見えない部分のトラブルは、リフォーム会社次第で解決や軽減させることが可能なので、リフォーム会社選びは慎重に行いましょう。