家を建てる時やリノベーションをする時はもちろん、暮らしていく中でも住まいにはお金がかかります。物価の高騰が続く中で、建築費用も暮らしの費用もどちらも出来るだけ抑えたいものですが、必要な経費を削ってしまったことで後悔が残る家づくりになったり、暮らしの中で不便さを感じたりするのは避けたいものです。
賢い家づくりを行ううえで、家づくりと暮らしに関係する費用、イニシャルコストとランニングコストの関係性や、後悔しないためにお金をかけるべきポイントをご紹介したいと思います。
1.家づくりにおけるイニシャルコストとランニングコストとは?
新築にせよリノベーションにせよ、家づくりの際にはイニシャルコストとランニングコストを意識することが重要です。それぞれどんなコストのことなのか、ご説明したいと思います。
■家づくりにおけるイニシャルコストとは?
イニシャルコストとは、初期費用・導入費用とも呼ばれ、最初に一度だけ発生する費用のことを指します。家づくりの場合は家を手に入れるまでに必要な費用のことで、下記がイニシャルコストにあてはまります。
●土地代:家を建てる土地の購入費用
●建築・工事費:家を建てるための費用・リノベーション費用
●諸費用:ローン保証料・登記費用・火災保険や地震保険などの保険料・税金・引っ越し費用など
新築に限らず、大規模改装などのリノベーションや中古物件の購入にもイニシャルコストがかかります。
■家づくりにおけるランニングコストとは?
ランニングコストとは、使い続けたり維持したりするために継続的に必要な費用のことを指します。家に関しても、住み続けていくうえで継続的に必要な費用のことで、下記がランニングコストにあてはまります。
●住宅ローン:ローンの返済
●光熱費:生活の中で使用した電気・水道・ガスなどの費用
●固定資産税:土地または家屋に対する税金として年4回に分けて納税
●メンテナンス・リフォーム費:家の設備機器のメンテナンスや修繕費・外壁や内装材のリフォーム費
家を維持し、暮らしていく中で必要な費用で、毎月かかるコストもあれば年に一度だけや、メンテナンス費のように継続的に必要なものの不定期なコストもあります。
さらに、マンションなどの集合住宅であれば、管理費や大規模修繕積立金、駐車場代もランニングコストに含まれます。
2.イニシャルコストとランニングコストを意識した賢い家づくり
イニシャルコストとランニングコストは家づくりや暮らしに必要なお金ですが、出来るだけお得に家を建てて暮らしていきたいものです。予算内で家を建て、無理なく節約しながら暮らしていくために、どこにお金をかけるべきなのか、家に関係する費用の賢い考え方をご紹介したいと思います。
■ランニングコストの節約はイニシャルコストにかかっている!?
毎月、毎年かかるランニングコストを抑えることで、家にかかる費用を出来るだけ節約しようと思うかもしれませんが、実は家を建てた時点、家の構造や仕様によってランニングコストの節約の限界は決まってしまうので、暮らし始めてから節約方法を考えても遅いと言えます。
例えば、冷暖房にかかる光熱費を抑えられるかどうかは、家の断熱性能に左右されます。断熱性が低く、外気の影響を受けやすい家はどんなに節約したくても、快適に暮らすためには冷暖房機器をフル稼働することになるかもしれません。しかし、断熱性が高い家にしておけば、冷暖房の効きが良く光熱費の削減になりますし、自然風や太陽光など自然エネルギーを活用できる家にしておけば、そもそも冷暖房機器を使わずにすむかもしれません。
どんな家を建てるかが、その後のランニングコストに大きく影響するということです。そのため、イニシャルコストがかかっても高機能住宅にしておくことは、ランニングコストを調整できる幅を広げることに繋がります。イニシャルコストとランニングコストは切っても切れないない関係なのです。どちらかを節約するというよりも、総額で考えることが大切です。
■長く住めばお得になる家をつくろう!
ランニングコストのことを考えて高機能住宅にしたのであれば、長く住めば住むほどトータルで考えれば、家にかかる費用を抑えたことになります。そのため、新築したりリノベーションしたりする際には、耐用年数の長さを意識して設備機器や建材選びをしましょう。
耐用年数の短い建材は、商品代も比較的安い傾向にあります。目先の節約で耐用年数が短い建材を選び、イニシャルコストを抑えても劣化が早く何度もリフォームをしなければいけないと、結局はラニングコストがかかってしまいます。長く住まない家であれば住んでいる時だけ耐えられる建材でも問題ないかもしれませんが、長く住むことを考えるのであれば、耐用年数が長い建材を選んだ方がトータルでは費用を抑えることに繋がります。
また、健康を意識して自然素材を使って建てる家は、量産品の建材を使うよりもイニシャルコストは高額になってしまう傾向がありますが、シックハウス症候群の発症を抑えたり、喘息やアレルギーの発作を抑えたりすることが出来るため、家族の健康が保て医療費の出費を抑えることに貢献します。シックハウス症候群を発症してしまった方の中には、どんなにお気に入りの家でも体調が悪くなるために室内にとどまることが出来ず、家を出なければいけなくなるケースもあります。健康を保てる家にすることは、長く暮らせる家にもなるのです。
しかし、ランニングコストを抑えるつもりでイニシャルコストにお金をかけすぎると、結局はローンの返済負担が上がってしまい、ランニングコストを圧迫することになるので注意が必要です。建築予算や将来のマネープランを立てる時は、イニシャルコストとランニングコストをセットで考えましょう。
3. まとめ
新築や中古物件の購入、大規模リノベーションを行ない住み続けていくためには、土地代や建築・工事費用などの初期費用であるイニシャルコストと、ローンの返済や光熱費、メンテナンス費など、家を維持していくうえで必要なランニングコストがかかります。イニシャルコストを節約するために、性能の低い家にしてしまうとランニングコストがかかってしまい、長い目でみるとお金のかかる家になってしまうかもしれません。賢く家づくりをして快適にお得に住み続けていくためには、どちらかの費用だけの節約を考えるのではなく、総額を考えてマネープランを立てることが重要です。
家の仕様や機能は住む人にとっての快適さだけではなく、お金にも関係しています。慎重に資金計画をして賢い家づくりを行いましょう。