室内が暗く見えて圧迫感があるため、天井を高くしたいというリフォームの依頼は少なくありません。また、注文住宅でも、開放的で部屋が明るい、天井の高い家は人気です。
しかし、天井の高い家は、本当の良いのでしょうか?デメリットはないのか、実際に天井の高い家に住んでいる人や、リフォームをして高くした人が感じている本音をご紹介したいと思います。また、天井の高い家ではなくても、実際より高く見せるためのテクニックをご紹介したいと思います。
1.天井が高い家は実際どうなの?
まずは、天井が高い家というのは実際どれぐらいの高さなのか、ご説明したいと思います。また、天井が高いと開放的になり部屋が広く見えるなど、視覚的な要素は大きいですが、困ることもあります。実際に天井の高い家に住んでいる方が感じているデメリットをご紹介したいと思います。
■天井が高い家とはどれぐらいの高さ?
木造住宅の一般的な天井の高さは2m40cmです。マンションなどでも基本的には2m40cmですが、鉄筋コンクリート造になると、梁があるため、部分的に天井が低い部屋があったり、梁下は低くなったりするので、木造に比べ天井が低く感じやすいかもしれません。
基準を2m40cmの天井高さとすると、一般的に天井が高いと言われる家の高さは、2m50cm以上からです。天井が高い家を売りにしているハウスメーカーでは、2m60cmや2m70cmの高さに設定しているとこともあります。また、家全体ではなく、圧迫感の出やすい玄関ホールや、開放的に見せたい1階のリビングなど、部分的に天井の高さを高くしたり、2階の天井まで吹き抜けにしたりして天井の高い空間を造ることもあります。
さらには、屋根の形状に合わせて斜めの天井を造ったり、一般的には屋根裏を隠すように天井を仕上げる部分を、梁を見せたりして高い天井にすることも出来ます。
■天井が高いとデメリットもある?
開放感抜群の天井が高い家ですが、一方で天井の高い家にしたことによって下記のようなデメリットを感じている方もいます。
●光熱費が高くなった:面積が同じ部屋だとしても天井が高くなると容積が変わるので、冷暖房の効きが悪くなり、光熱費が高くなる可能性があります。天井を高くしたのに伴って窓を大きくしたことで、太陽光が入り明るい一方で、夏は部屋が暑くなりすぎたり、冬は冷気が入りやすくなったりすることもあります。天井の高い家にする場合は、断熱性や遮熱性を高めておくことが必須です。
●掃除が大変になった:高い位置にある窓の掃除や、天井近くの蜘蛛の巣、照明の笠にたまるホコリ、エアコンフィルターなど、掃除をしたくても、手が届かないため、一般的な家よりも大変になってしまいます。柄の長いホウキや脚立など、掃除道具も専用のものが必要になります。掃除道具の収納場所が必要になったり、一人では気軽に掃除できなくなったりしたというお宅も少なくありません。
●照明の交換が大変:掃除と同様に大変になるのが、照明の交換です。吹き抜けの場合は特に、交換の際に脚立でも届かず、業者に依頼しなければいけないので、電球がきれた際などの急なトラブルに対応できず困ったという方は少なくありません。
●建築費・リフォーム費が高くなる:一般的な天井高さではないため、建築資材も規格外になったり、材料費が増えたりして工事費用が高くなってしまいます。ハウスメーカーでは、天井を高くするのはオプションとして追加費用がとられることもあります。また、内装リフォームでは、天井がかなり高い吹き抜けの場合は特に、足場が必要になるなど、工具が増えたり、工事日数が増えたりしてしまうのもデメリットです。また、天井高に合わせて窓も大きくするため、カーテンのサイズも既製品ではなくなり、選べるデザインの数が限られていたり、特注になって高くついたりします。
以上の通り、デメリットもしっかり把握しておかなければ、暮らしていくうえでランニングコストがかかる家になってしまい後悔を招くかもしれません。開放感や家のデザインなどのメリットとデメリットを比較し、どちらを優先したいのか、どんな対策が出来るのかを考えたうえで、天井の高い家にするかどうかを決定しましょう。
2.天井を実際より高く開放的に見せるテクニック
天井を規格サイズよりも高くしてしまうとデメリットもあることを考えると、高くしないことを選択するかもしれません。しかし、広く開放的に見せることを諦める必要はありません。どのように実際よりも高く見せることが出来るのか、テクニックをご紹介したいと思います。
■ドアや窓を高くして縦ラインを強調
天井は同じ2m40cmでも、開口部分となる窓やドアの高さが高いと、部屋は開放的になり天井が高く見える効果があります。
ひと昔前までのドアは1m80cmだったので、築年数が古い家であれば、近年一般的なドアのサイズである2mに変えるだけでも、部屋を広く見せる効果を期待できます。ハイドアと呼ばれる天井までの高さがある2m20cm~2m40cmのドアにすれば、縦ラインが強調されて、さらにスッキリと天井の高い部屋を演出できます。
窓も同様に2m以上にすることで広さを感じますし、実際に自然光が入りやすくなり明るくなります。マンションのように共有部として窓を大きく出来ない場合は、カーテンレールだけ天井付けにして天井からの長いものに変えることで、大きな窓を設置しているように見えて広く感じます。
■天井の色を意識して圧迫感をなくす
天井を仕上げる素材や色も部屋の見え方に大きな影響を与えます。天井には、圧迫感を感じさせないように明るく薄い色や、凹凸がなくスッキリとした仕上がりになるものを選ぶことがポイントです。
例えば、明るさの点では天井の色を壁の色よりも明るくすることで開放感が出ます。また、アクセントクロスを選ぶテクニックとして、壁のクロスに縦ストライプの柄ものをアクセントで入れることで、縦ラインが強調されて天井が高く見える効果を期待できます。
天井に凹凸を無くすという点では、照明器具を埋め込み型のダウンライトにすることでスッキリとした印象になります。反対に、ペンダントライトなど垂れ下がってくるものを設置すると、大きな笠のものやコードが長すぎると特に、天井の低さを強調し、圧迫感が出てしまうかもしれません。
3. まとめ
2m50cm以上の天井が高い家にすることで、広く開放的な空間になります。しかし、天井が高いことで、冷暖房の効きが悪くなり光熱費が高くなったり、掃除や照明の交換が大変になったり、建築費やリフォーム費が高くなるというデメリットもあるので、注意が必要です。天井を高くしない場合でも、窓やドアを高さのあるものにしたり、天井を明るく凹凸がない素材で仕上げたりすることで、実際よりも高く開放的に見せることが出来るので、自分の家に合った、どんな方法があるかを考えることも出来ます。
天井の高い家にするメリットとデメリットのどちらもしっかりと考慮して、開放的で居心地の良い家にしましょう!