在宅ワークをしている方や、学校や幼稚園に通っているお子さんがいる家庭では特に、引っ越すことなく住みながらリフォームやリノベーションは出来ないのだろうか?と考える方は少なくありません。引っ越しが必要となるかどうかで、準備することも大きく変わってくるので、リフォームやリノベーションでは重要なポイントとなります。

リフォームのプロとしての、住みながらリフォームに関する意見と、実際に住みながらリフォームをした施主側が感じたメリットとデメリットをご紹介したいと思います。

1.住みながらリフォームに対するプロの意見とは?

そもそも住みながらリフォームやリノベーションを行うことは可能なのでしょうか?まずは、住みながらリフォームすることに対して、リフォーム会社の意見や大工さんの本音をご紹介したいと思います。

■基本的には住みながらのリフォームは可能!

水回りの設備機器の交換や、一部分やひと部屋だけのリフォームであれば、工事中に施主が避難する場所もあるため、基本的には住みながらの工事が可能です。床やクロスの張り替えも、ひと部屋だけ、もしくはひと部屋ずつ進めていくのであれば、家具を移動させる場所さえ確保できれば問題なく行えます。家具だけ、引越し業者に依頼して預かってもらったり、貸コンテナに移動させたりすることも出来ます。また、短期間の工事であれば、リフォームする部屋をメインで使っている方や子供たちが旅行に行っている間に工事をして、家族全員が引っ越さないという方法を使う方もいらっしゃいます。

しかし、大掛かりなリノベーション、柱や屋根などの構造部分だけを残して全てをやり替えるスケルトンリフォームを行う場合は、住みながらの工事となると、常に生活空間をどこかに残しておく必要があり、一気に解体が出来ないため、工事に時間がかかってしまいますし、その分リフォーム費用も高くなってしまいます。しかも、移動はしないものの水回りや電気が使えない期間も出てくるので、快適に暮らせないことを覚悟する必要があります。そのため、大規模リフォームに関しては、仮住まいがおすすめです。

■住みながらリフォームに対する大工さんたちの本音とは?

基本的に住みながら工事は出来る、と担当営業マンに言われても、実際に工事をする大工さんたちはどう思っているのだろうかと気になる方も少なくありません。工事内容にもよりますし、対人間なので、やはり大工さんと施主との相性もありますが、よく聞く大工さんたちの本音をご紹介したいと思います。住みながらの大規模リフォームを決めた場合は、下記の点を少し頭に入れておくと、職人さんたちと良い関係を保ち、ストレスを軽減させることが出来るかもしれません。

『すぐに確認が出来て助かる!』:図面上で細かく指示されていなかったり、現場の寸法に合わせて調整しなければいけなかったりする場所など、リフォームでは施主に確認をとって工事を進めていかなければいけない部分が出てくることがあります。その際に、そばに施主がいるので、意見を聞きやすくスムーズに工事が進んで助かると思っている大工さんは少なくありません。棚や手すりの設置高さを確認してもらったり、実際に現場で動作確認をしてもらったり、塗り壁の模様の雰囲気をチェックしてもらったり、確認作業がスムーズになります。ただし、リフォーム費用や営業・設計担当者の意見も関係している部分も多いので、何でも大工さんと直接やり取りが出来るわけではないため注意が必要です。

『時間がかかってしまう・そばで見られると作業しづらいなぁ』:生活空間に木くずやほこりが入らないように養生をしたり、家具を移動させながらの工事になったりするため、住みながらの工事は時間がかかってしまいます。作業スペースも狭くなるケースが多いため、住みながらのリフォームは日程に余裕をもって工事しなければいけないという印象が強い大工さんは少なくないようです。また、中には作業が気になって常に見守っている施主もいます。特に話しかけられると、作業がなかなか進まなくなってしまいますし、施主の安全にも気を遣って作業することになります。四六時中見られると大工さんもストレスです。住みながらのリフォームとはいえ適度な距離感は、工事中にも必要です。

『そんなに気を遣わなくても良いのに・・・』:施主の気遣いは嬉しいものですが、あまりにも気を遣って頻繁に飲み物を用意したり、お菓子を差し入れたりされると、そこまで気を遣わなくても良いのにと、申し訳なくなる大工さんもいます。基本的には差し入れも必要ありませんが、したいと思う場合は、朝や休憩時間だけ準備したり、クーラーボックスに用意して置いておくようにしたりするなど、始めに差し入れのスタイルを決めておくと、お互いに気を遣わずにすむかもしれません。

2.施主が感じた住みながらリフォームのメリット&デメリット

プロの意見とは違い、施主目線だからこそ感じる住みながらリフォームのメリットとデメリットもあります。実際に住みながらリフォームを経験した方の本音をご紹介したいと思います。

■住みながらリフォームのメリット

通勤・通学を変えずにすんでラクだった:家の近くで仮住まいが見つからなければ、通勤距離が遠くなったり、子供たちの送迎が必要になったりしたので、拠点が変わらずに工事できたのはラクだったという方が多くいらっしゃいます。

工事の状態をそばで確認できて安心:大切な家だからこそ、希望通りの工事をしてくれているか、適当な工事になっていないか気になるものです。四六時中張り付いて見守るわけではないにしても、いつでも確認できる、心配な部分はすぐにチェックできる安心感があったという意見は少なくありません。

一緒に家づくりをしている気持ちになれて新居に愛着がわいた:日に日に家が仕上がっていく様子、イメージしていた理想の暮らしがカタチになっていくのをそばで見ることが出来るのも住みながらリフォームのメリットです。リフォームにありがちな解体後のアクシデントを一緒に悩んだり、大工さんたちの作業姿を見たりすることで、一層家に愛着がわき、大事に長く住みたいという気持ちが深まったという方も多くいらっしゃいます。また、家の中でキャンプをしているような、非現実的な空間での生活を楽しめて、良い思い出になったという意見も意外と多くあります。

リフォーム後もお願いしやすい:大規模リフォームとなると大抵2週間以上の工事を見届けることになり、営業マンはもちろん大工さんなどの職人さんとも親しくなったという方は少なくありません。気が知れた間柄になり、家のことは今後も何でも相談したい、何かあってもお願いしやすくて安心、と思えたという意見もあります。

■住みながらリフォームのデメリット

普段の生活は送れない:慣れた場所で生活を続けることでストレスを軽減できると思っていた方の中には、水回りが使えず外食続きになったり、工事の時間に合わせて早く起きて朝の支度をしなければいけなかったり、洗濯が出来なかったり、いつも通りの暮らしが行えないことが逆にストレスになったという方もいらっしゃいます。仮住まいの方がいつもと違うからと、気持ちを切り替えたり、生活のリズムやプライバシーは守りやすかったりして良いかもしれません。

常に騒音・ホコリと共に生活:工事空間と居住空間が分かれるように養生をしたり、間仕切りを造ったりはしますが、それでも、音や砂埃は入ってきます。電話やテレビの音が聞こえず日に日にストレスが増していって、仮住まいにすれば良かったと工事途中に後悔したという方は少なくありません。

ご近所さんの様子が気になって疲れた:自分の家は綺麗になっていく過程をみることが出来ますし、どんな工事を行っているか内容が分かるため、騒音はさほど気にならないという方でも、近隣で工事があるとうるさく感じたり、長く感じたりするものです。工事車両を道路に停めて邪魔になることもあります。ご近所さんに挨拶をしているものの、迷惑をかけていないか、大工さんたちは上手くやってくれているかなど、気になって疲れたというケースもあります。仮住まいであれば、気にはなっても見えませんが、住みながら、となると頻繁に顔を合わせる方がご近所にいると、気を遣うかもしれません。

3. まとめ

設備機器の交換や小規模リフォーム、家具の移動だけで行える工事であれば、住みながらリフォームは可能で、比較的ストレスなく行えるかもしれません。しかし、大規模リフォームやリノベーションとなると、工事期間は延び、リフォーム費用も高くなってしまううえに、ストレスを感じることが多いので仮住まいに引っ越す方が良いかもしれません。また住みながらリフォームは、通勤や通学経路が変わらないラクさはあるものの、いつも通りの生活が送れなかったり、ご近所さんの様子が気になったりするというケースもあります。

住みながらリフォームがメリットとなるかどうかは、営業マンや大工さんとの相性、家族構成や家づくりに対するとらえ方、楽しみ方など人によっても違ってくるので、経験者の意見を参考に自分の場合はどうかを考えてみましょう。

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