新築のマイホームを手に入れるには、既に建物が建っている『建売分譲住宅』と、注文してから設計、建築を行う『』の大きく分けて2つの方法があります。注文住宅は、理想の家を建てられるというイメージがある反面、費用が高くなる、時間がかかる、希望通りに造るのが難しいというイメージをもって諦める方も少なくありません。しかし、注文住宅の中にも違いがあることをご存知でしょうか?注文住宅へのネガティブなイメージは、実は種類を知らないことから生まれている問題点なのかもしれません。種類を知って、理想に合った家づくりの方法でマイホームを手に入れることは大切です。

そこで今回は、注文住宅の種類について、また、その種類を選ぶ時に意識しておきたいポイントについて、ご紹介したいと思います。

1. 注文住宅には種類がある!

家を新築するうえで一般的な注文住宅の依頼スタイルの違いを、大きくわけて3つ、メリット&デメリットとともにご紹介したいと思います。

■規格住宅(企画住宅)

規格住宅とは、その名の通り、規格化された間取りや仕様をベースに設備やデザインを選んで建てる住宅のことで、企画住宅とも呼ばれます。選択肢が用意されたプラン内で、選びながら建てるスタイルですが、設備機器や内装材のグレード、オプションの範囲などが細かく決まっているということもあり、色やデザインを選ぶだけの、選択肢がかなり限られるケースは少なくありません。選択肢は狭いものの、同じプランを選んだ方の施工例や口コミが確認できるので、生活のイメージがしやすかったり、コーディネート例を確認出来たり、メリットとデメリットを事前に確認しやすいという良さがあります。

また、プランが決まっているため、建設会社は設計料や人件費、建材のコストを抑えることができ、注文住宅の中では比較的安価で建てることが出来るというメリットがあります。

さらに、間取りが決まっていることから、構造計算が出来ており、耐震性能を前もって確認することが出来ます。省エネレベルなども数値化されているため、目に見えない部分の造りに安心感があります。その反面、建てたい土地に入らなかったり、隣接する道路や隣家と玄関や窓の位置、間取りが合わなかったりして、暗く使い辛い家になることが目に見えて分かり、間取りは気に入っても諦めるという場合もあります。

■セミオーダー住宅

企画住宅よりも間取りや仕様に関する自由度が高く、選択肢が広がるのがセミオーダー住宅です。選択肢が広がるとはいえ、フルオーダーではないため、設備機器や内装材のメーカーが決まっているということは少なくありません。

また、いくつかの間取りのベースがあり、組み合わせてオーダーしたり、『ステップフロアのある家』、『ガレージのある家』、『自然素材の家』というように、コンセプトが決まっている中で仕様を決めたりするタイプの住宅もあります。

ただし、企画住宅とセミオーダー住宅の線引きは曖昧で、建設会社やハウスメーカーによっても選択肢の幅が異なるので、実際には出来る内容や自由度を会社ごとに詳しく確認しておく必要があります。

■フルオーダー住宅(自由設計住宅)

注文住宅と聞いて多くの人がイメージするのが、このフルオーダー出来る自由設計住宅かもしれません。何もないゼロから全て自分好みの家を造ることが出来ます。そのため、土地や建ぺい率に合わせて、デッドスペースを作ることなく建てることが出来ます。

依頼は、自由設計が出来るハウスメーカーや建設会社に依頼することも出来ますし、中には設計とデザインを設計事務所やお気に入りのデザイナーに依頼し、施工は別の建設会社に依頼するという分業スタイルの方法もあります。

どちらの場合も、間取りや仕様、設備、構造面など細かく設計士と打ち合わせて造っていく必要があり、細部に至るまで自分好みの家に出来る反面、こだわりすぎて設計費や建築費が膨らむことがあったり、悩みすぎて建築までの時間がかかったりするというケースは少なくありません。プロに依頼するものの、一緒に検討していく中で、良いものを見極めて選択していくためには、施主側にも幅広い分野での知識が多少必要になります。

2.注文住宅の種類はどうやって決める?

注文住宅にも種類があると分かりましたが、新築するにあたって、どのタイプで家を建てると良いのかを、どのように決めると良いのでしょうか?注文住宅の種類を決めるうえでのポイントをご紹介したいと思います。

■自分のこだわりたい部分を明確にする!

必ずしも、フルオーダー住宅でなければ思い通りの家にならない、というわけではありません。規格住宅やセミオーダー住宅でも、自分の理想や優先させたいこだわりの部分が反映できる場合もあります。

例えば、耐震性能や断熱性能が高い家にしたいのであれば、ZEH住宅や長期優良住宅基準で施工を行う建設会社を選べば、間取りがパック化されている住宅でも、こだわり通りの家になるかもしれません。また、『ガレージが欲しい』、『インダストリアルテイストの家にしたい』、など理想の家が、ハウスメーカーのプランにあるコンセプトと一致すれば、施工例も多くイメージが湧きやすいため、暮らしやすい家づくりの近道となります。

さらに、内装材にこだわる方は、セミオーダー住宅の自由度によっても選択肢が変わるので、自分にとって優先させたいものが何かを明確にしたうえで、その分野にどれだけ自由度がある会社かどうかという点に注目して選ぶことが大切です。

■予算をしっかり検討する!

どんなに、こだわって建てたい部分があっても、予算内でなければ実現することは出来ません。そのため、予算内で納まる種類を選ぶことが重要です。土地や理想とする家の広さと、注文住宅の種類によるそれぞれの相場を確認し、予算内で建てられるのはどの方法かを事前に確認しておきましょう。

その点で、規格住宅やセミオーダー住宅は価格帯が分かりやすく、グレードやプランに応じて金額を選ぶことも出来るというメリットがあります。しかし、一概にフルオーダー住宅だから高くなるというわけではなく、建築費用を抑えるために、あえてフルオーダー住宅を選んで、建材や工法を慎重に選ぶことで最安値での施工にするという方法もあります。

また、補助金の活用や住宅ローン控除を利用することで予算内に収めることも出来るかもしれません。例えば、省エネ性能や耐震性能にこだわることで、補助金を使えたり、減税出来たりします。しかも、性能レベルによって限度額などが変わるものもあるので、省エネ住宅や長期優良住宅の建設をベースとしたうえで、自由度の高い会社に依頼することで、より予算内で選択肢を広げることが出来るかもしれません。

さらに、家を建てたら終わりではなく、定期的なメンテナンスやリフォームが絶対に必要となります。お気に入りの家にして、長く住めば住むほど必要となることで、費用もかかります。そのため、新築費用だけではなく、メンテナンスやリフォームといった今後のランニングコストも意識しておくことは重要です。新築だけしか扱わない会社ではなく、リフォームやリノベーションも引き続き担当してくれて、今後のリフォーム計画やコストもセットで考えてくれる会社を選ぶことで、長期的なスパンで費用を抑えつつ家を建て維持することが出来ます。

3. まとめ

ひとえに注文住宅といっても、注文住宅には、規格住宅(企画住宅)、セミオーダー住宅、フルオーダー住宅(自由設計住宅)の大きく分けて3つの種類があります。間取りや仕様のベースが決まっていて内装材のカラーやデザインのみを選択できる規格住宅は、価格帯や暮らしやすさのイメージは分かりやすいものの、土地のサイズや立地環境に合わない場合があります。規格住宅よりも自由度が高いセミオーダー住宅は、間取りや仕様の選択肢が広がりますが、会社によって選択肢の幅が異なるので、内容を比較することが大切です。その点、フルオーダー住宅は設計・デザインや仕様、構造まで全て自由に考えることができますが、費用や時間がかかりやすい傾向にあります。そのため、注文住宅の種類を選ぶ際には、自分がどんな点にこだわりたいかを明確にすることや、リフォームやリノベーションを含めた予算と相場を確認することが大切です。

中古・新築、建売、注文住宅など、マイホームをもつうえでの選択肢はいくつもあるので、自分に合うスタイルを慎重に選びましょう。

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