ひと昔前までは、庭がある戸建でも2階以上の部屋にバルコニー(屋根のない屋外スペース)やベランダ(屋根や庇がある屋外スペース)が付いているのが一般的でした。しかし、最近は、2階以上の部屋にはバルコニーやベランダを設けないお宅が増えています。庭が無いお宅でもバルコニーを設けていなかったり、築年数の古い家でバルコニーがあるものの、使っていなかったりするお宅も多く、中には撤去する場合もあります。

戸建を新築する場合やリノベーションする場合、2階以上にバルコニーやベランダは必要なのでしょうか?2階以上の部屋にバルコニーやベランダを設ける際の注意点と共にご説明したいと思います。

1. 2階にバルコニーがある家と無い家のそれぞれのメリット

2階以上の部屋に、バルコニーやベランダがある家のメリット、反対に無い家のメリットは何でしょうか?それぞれのメリットを知って、自分の生活スタイルや家がどちらに当てはまるのか、どちらのメリットが理想的なのかどうかを比較してみましょう。

■2階にバルコニーやベランダがある家のメリットとは?

●洗濯物が干せる・・・2階に水回りがあるお宅や、ファミリークローゼットがあるお宅などは、2階バルコニーに洗濯物が干せることで、家事導線が短く使い勝手が良くなります。また、1階や庭よりも、洗濯物が人目につきにくいというメリットがあります。

●採光・通風がある・・・バルコニーがあるということは、出入り出来る掃き出し窓があるということになります。腰窓と違い、大きな窓がとれることで、採光や通風が期待できます。また、ベランダがあることで、部屋に直射日光が入り辛くなったり、外壁からの熱や外気が直接伝わりにくかったりするので、真夏の暑さや真冬の寒さを軽減出来ます。

●布団が干せる・・・2階は寝室のみのお宅でも、布団を干せるようにバルコニーを設けているお宅もあります。布団などの大物を干すために1~2階を上り下りするのは大変なので、寝室のある部屋にバルコニーがあることで、定期的に干しやすくなります。

●部屋を広く見せることが出来る・・・大きな窓にベランダがあれば、部屋から繋がった空間として部屋を広く、開放的に見せることが出来ます。2階にリビングがあるお宅では、バルコニーやベランダを広くとり、セカンドリビング、アウトドアリビングとして活用できるので人気です。

●エアコンの室外機が置ける・・・2階にある寝室や子ども部屋など、各部屋にエアコンを設ける場合は、ベランダやバルコニーに、室外機を置くことが出来ます。配管を延長して敷地内に置くことは可能ですが、隣家や塀との隙間が狭かったり、物置を置いていたり、室外機の位置を気にする必要があるかもしれません。バルコニーがあれば、庭の状態や1階の窓や勝手口の位置を気にせずに2階のエアコンが設置しやすく、エアコン本体と室外機との配管の長さも必要ありません。

以上のことを考えると、2階にリビングや水回りがある家にとっては特にメリットが多いかもしれません。

■2階にバルコニーやベランダが無い家のメリットとは?

●防犯性が高くなる・・・窓だけの場合と比較して、ベランダやバルコニーがあることによって泥棒が入りやすくなっているケースは少なくありません。バルコニーは隠れることも出来るので、狙われやすくなります。隣家が近い家や、人通りの少ない家は、バルコニーやベランダを無くすだけでも防犯性を高めることが出来るかもしれません。

●雨漏りのリスクが下がる・・・外壁よりも張り出していて日光や雨風の影響を受けやすい部分なので、しっかりとメンテナンスをしていなければ、雨漏りの原因となってしまいます。バルコニーが無いことで、雨漏りのリスクを下げることが可能です。

●外観がシンプルでモダンになる・・・モダンな家に仕上げたい場合は、出来るだけシンプルで凹凸の少ないデザインにしたいので、バルコニーが無い方がスッキリとしたモダンテイストな家に仕上げることが出来ます。

●掃除・メンテナンスの手間や費用が省ける・・・常に外気に晒され汚れやすい部分なので、定期的な掃除が必要となります。また、劣化する床の防水層は定期的な防水工事によるメンテナンスが必要です。バルコニーが無ければ、掃除やメンテナンスのための手間や時間、費用がかかりません。新築時に設けないことを選択するのであれば、建築コストも下げることが出来るというメリットがあります。

2.2階以上の部屋にバルコニーやベランダを設ける際の注意点とは?

2階以上の部屋にバルコニーやベランダを設ける方が自分の生活スタイルや間取り的にメリットが多いと感じたのであれば、設けることで、暮らしやすい家になるかもしれません。しかし、バルコニーを造れば良いというわけではありません。使い勝手の良い空間にするために、どんな点に注意すべきかポイントをご紹介したいと思います。

■バルコニー壁の種類をしっかり検討する!

バルコニーの壁の種類には大きく分けて3つの種類があります。ひとつは、腰壁で全体を囲う方法、他に縦やクロスタイプのフェンスで囲う方法、そしてベースは腰壁で部分的にフェンスを取り入れる方法です。どの種類にするか、よく考えて採用しなければ、バルコニーを設けるメリットが活かされない場合があるので注意が必要です。

例えば、最近はシンプルでモダンな家の外観に合わせて全面腰壁で囲うタイプのバルコニーが増えています。腰壁のみにすることによって、室内やバルコニーに干した洗濯物などプライベートな部分を隠しやすいというメリットがありますが、一方で通風や採光が悪くなるというデメリットがあります。そのため、デザイン重視で腰壁タイプを採用した方の中には、壁のせいで日光が入らなかったり風が通らなかったりして洗濯物が全然乾かなかったり、植物が育ちにくかったりして使い勝手が悪いという失敗談は少なくありません。景色を楽しみたかったのに、腰壁にしたことで室内から外が見えづらいというケースもあります。反対に、フェンスにしたことでペットの目線でも外が見えて、気になって無駄吠えが多くなるというケースもあり、どちらが良いかは住む人によって異なります。

さらに、壁の高さにも注意しておく必要があります。安全性を考えることが最も重要ですが、布団を干したいと思っていたのに腰壁が高すぎて干しづらく、結局バルコニーに干さなくなったという方もいらっしゃいます。壁の高さを調整できない場合は、布団を干せるだけのスペースを確保して、壁に竿を設けたり、置き型の布団干しスタンドを置けるようにしたりするなどの工夫を考えましょう。

バルコニー壁の種類や高さを決める際には、家の外観デザインに合わせるだけではなく、用途や使い勝手に合わせて最適な種類を選びましょう。

3. まとめ

2階以上の部屋にバルコニーやベランダが必要かどうかは、住む人にとって何がメリットになるかどうかによって異なります。2階にリビングや水回りがある家では、バルコニーがあることで、洗濯物が干せて家事動線が良くなったり、採光や通風が期待できてリビングが広く、開放的で、セカンドリビングやアウトドアリビングとして楽しめたりするメリットがあります。また、2階は寝室だけのお宅でも、布団の干しやすさや室外機を置く場所としてバルコニーを設けているお宅もあります。反対に、バルコニーを設けないことで、防犯性を高めたり、雨漏りのリスクを軽減したり、建築コストやメンテナンスコストや掃除の手間を無くしたり出来るというメリットもあります。

住む人によって、求める快適さや用途は異なります。バルコニーやベランダが必要か、必要な場合は、どんな広さや種類にすべきか、自分の暮らしに合わせた家づくりを行いましょう。

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