新築や中古物件を購入するにしても、注文住宅を建てる場合でも、リフォームで外壁をやり替える場合でも、家の外壁の素材を確認しておくことは重要です。色やデザインなど見た目で選びがちな外壁ですが、使われている素材を知ったうえで外壁を意識して見ることで、より自分好みで、お手入れがしやすく快適な家を選ぶことが出来ます。

家選びを左右する外壁にはどんな種類があって、どんな点を意識して確認すると良いのかをご説明したいと思います。

1.外壁に使われている素材とは?

外壁の素材の特徴、メリットやデメリットを知ることで、家を選ぶ時の意識が変わります。そもそも、戸建住宅の外壁には、どんな素材が使われているのでしょうか?日本で主流の外壁材を5種類ご紹介したいと思います。

外壁に張る板材で、現在の戸建住宅では主流となっています。板状のため、施工がしやすく工期が短いというメリットがあります。サイディングの中には、セメントを原材料とした窯業系サイディング、ガルバリウム鋼板などの成型された金属を使う金属系サイディング、天然木を使う木質系サイディング、塩化ビニル樹脂を原料とした樹脂系サイディングがあり、価格や機能が異なります。さらに、窯業系サイディングであればタイル調やレンガ調、木目調など、色やデザインも豊富で、和風や海外スタイルなど様々なテイストをカバーしているので、高価になりやすい輸入建材ではなくても、安価で好みのデザインの外壁に仕上げることが出来ます。

■モルタル

サイディングが普及する前まで、一般的だった外壁といえば、モルタル外壁です。ラスと呼ばれる網状の金物の上から、砂とセメントを混ぜ合わせたモルタルを塗って塗装で仕上げる外壁です。モルタルは、模様を付けたり、タイルや木など他の外壁材と組み合わせて使ったり、曲線や狭い面などどんな形状や広さの壁にも対応出来たりするので、オリジナル性の高い外壁に仕上げることが可能です。一方で、左官職人の技術にかかっているので、知識や技術のない職人が施工すると耐久性が低く、耐用年数よりも早く、ひび割れなどの施工不良を起こしてしまいます。

■ALC

ケイ酸質と石灰質、アルミニウム粉末を原料として高温高圧で上記要請された軽量気泡コンクリートパネルを張って仕上げる外壁です。水に浮くほど軽いうえに、耐震性や耐熱性、耐火性に優れています。適正で定期的なメンテナンスを行えば、耐用年数は50年を超えると言われています。ただし、材料費はサイディングやモルタルよりも高いうえに、定期的なメンテナンス費用がかかることや、継ぎ目が多いので雨漏りのリスクが高くなるというデメリットがあります。

■タイル

粘土を原料として板状に焼き固めたタイルを外壁材として張って仕上げます。タイルは、丈夫で傷や摩擦に強く、塗料とは違い雨風や紫外線による経年劣化がないため、20~30年以上の耐久性があると言われています。しかし、タイルそのものが丈夫でも、継ぎ目やコーキングが劣化してしまうと水がタイルの裏側に染み込んでしまい、外壁や構造部分の劣化に繋がってしまうので注意が必要です。

2.外壁選びでの失敗談から学ぼう!

家選びの際に、外壁材を意識するうえで、現状だけではなく今後のメンテナンスやリフォーム方法も考えておくことは重要です。ここでは、失敗談を通して外壁選びで意識しておきたい点をご紹介したいと思います。

■塗装でイメージが変わって後悔

主流となっているサイディング外壁は、基本的に塗装によってリフォーム・メンテナンスを行います。サイディングのデザインがシンプルなもので、現在単色のものであれば、通常の塗料でも問題ないのですが、サイディングがレンガ調で、茶や白が混在して風合いがあるものや、御影石のような天然石調で単色ではないものは、塗装の際に注意が必要です。

北欧風のレンガ調サイディング外壁で、レンガの温かい風合いを気に入って家を選んだ方の中には、通常の単色の塗装をすることで、のっぺりとした印象になり、お気に入りの風合いが無くなってしまいイメージが変わって後悔したという方がいらっしゃいます。

本格的な風合いを楽しみたいのであれば、サイディングではなく本物のレンガや天然石タイルを使った外壁を選ぶ方が良いかもしれません。また、塗装でイメージを変えたくないのであれば、無色透明のクリアー塗装で今のサイディングの風合いを生かす方法があります。ただし、クリアー塗装を行う場合、汚れやシミがそのまま見えてしまったり、細かな隙間を埋めにくかったりするデメリットがあるので、中古物件の場合は特に、今の状態をしっかり確認しておきましょう。

他の塗装リフォームの方法として、多彩模様で塗装したり、目地と外壁の色を分けて立体感が出るようにしたりする方法があります。単色で塗装する場合よりも、レンガの風合いを残すことが出来ますが、施工に手間と時間がかかり、技術も必要ですし、費用も高くなってしまいます。

レンガ調のサイディングの家を選ぶ場合は、数年後のリフォームで、塗装の種類によってイメージが変わる可能性があること、好みの雰囲気を維持するには、リフォーム費用が高くなってしまうことを覚えておきましょう。

■立地に合った外壁を選ぶ!

サイディングの中でも、断熱性が高く、軽量で耐震にも効果的で、シンプル・モダンでオシャレな外壁として、金属サイディングがリフォームや注文住宅で人気になっています。

しかし、ガルバリウムの金属サイディングを選んだ方の中には、錆びやすさに悩んでいる方もいらっしゃいます。海の近くや排煙が多い工場の近くなど、環境によって錆やすくなってしまうので、金属サイディングでも耐錆性の高い素材を選ぶか、窯業系を選ぶなど、立地に合った外壁材を選びましょう。

また金属サイディングは、耐用年数が長く、カバー工法にも使われるようにリフォームの観点ではメリットが多いですが、窯業系サイディングよりも高価であることや、工事を行うのは主に板金工事会社でハウスメーカーに依頼すると、板金工事会社に下請け発注するので、さらに高くなるなどのデメリットもあるので、注文住宅の場合は、物件価格が高くなってしまう可能性があります。

3. まとめ

新築であれ中古物件であれ、家を選ぶ際には外壁の色やデザインだけではなく、素材もしっかりと確認するようにしましょう。日本の戸建住宅の主流はサイディング外壁で、特に人気の窯業系サイディングはバリエーションに富んでいます。また、築古物件に多いモルタル外壁は、オリジナル性の高い外壁にすることが可能です。耐用年数の長さを求めるのであれば、タイルやALC外壁が人気です。それぞれの素材にメリットもあればデメリットもありますし、価格や耐用年数も違います。リフォームやメンテナンスの違いもあるので、素材の特徴を確認しておきましょう。

家選びの際には、外壁の見た目だけではなく、素材もしっかりチェックして、お気に入りの家に長く住みましょう!

Follow me!