歳を重ねるごとに家にいる時間が長くなったという方は多いかもしれません。コロナが流行って、いっそう家にいる時間が増えたシニア世代の方の中には、体力が無くなってきたと感じたり、人と合わなくなったりして、家にいることに辛さを感じておられる方もいらっしゃいます。その一方で、家で出来る楽しみを見つけ、家での生活を満喫しておられる方もいらっしゃいます。
体力や気力も関係しているかもしれませんが、シニア世代になっても、家の中での暮らしを毎日楽しく満喫するうえで、内装や設備、間取りが影響していることがあります。リノベーションが、快適な生活や新たな楽しみを始めるきっかけとなることは少なくありません。どんな家にリノベーションすることで、シニア世代になっても快適な空間にすることが出来るでしょうか?
1.目指すのは安全性だけじゃない!居るのが楽しくなる家!
シニア世代向けのリフォームやリノベーションと言えば、バリアフリーにすることをイメージされるかもしれません。もちろん安全性を確保するという点では重要ですが、安全に暮らせても、快適に楽しく暮らせるかは別の話です。家が好きになるリノベーションを意識してみましょう!
元気になる色やデザインで仕上げる!
花や海、自然を見ると元気が出る、気持ちよくなるという方は多いのではないでしょうか?気分を向上させたり、元気を保ったりするうえで視覚は大きく影響しています。そのため、毎日目にするもの、家の内装は重要な部分といえます。
家のクロスや塗り壁は、好きな色やデザインのものを選びましょう。飽きがこないように無難な色を選びたくなるかもしれませんが、そのような場合は、部屋全面ではなく、1面だけ明るめの色や模様付きを選んで、アクセントにすることがオススメです。もっと面積を減らしたいと思うのであれば、壁をくり抜いて飾棚や収納にするニッチの内側部分だけ、楽しくなるような色のクロスで仕上げることで、絵画を飾っているような空間にすることが可能です。
珪藻土のような塗り壁で仕上げれば、塗りパターンによって好みの雰囲気に出来ます。塗り壁は凹凸があるので、太陽光や照明の明かりの当たり具合によっても陰影が変わります。同じ壁でも、日の入り方による違いを楽しみ、好きな見え方をする時間や季節を見つけて、変化を楽しむ事もできます。
趣味室・趣味を楽しめる空間を作る!
コロナ禍で新たな趣味を見つけ、趣味室を作った方が増えました。若い人たちが楽しむもの、と考えておられる方もいらっしゃいますが、シニア世代こそ趣味室を設けて、家で満喫しましょう。子供たちが成人し必要なくなった子供部屋や、物を減らして空いている納戸、ウォークインクローゼットなどの使わなくなったスペースを活用して、趣味のための部屋を作ることが出来るかもしれません。
また、本格的に作業する趣味でなくても、好きな写真や絵を飾るというのもおススメです。壁にピクチャーレールを設けることで、絵の位置や高さを簡単に変えることが出来るので、自分の作品や写真の新作を飾ったり、季節に合わせて取り替えたりすることができ、空間に変化が生まれます。以前は模様替えで部屋の変化やコーディネートを楽しんでいた方の中には、体力的に家具の移動ができず、模様替えを楽しめていないという方もいらっしゃいます。絵や写真であれば、家具ほどの重みもないので気軽に変えることができるうえ部屋の雰囲気も変わりますし、次は何を飾ろうかと考える楽しみも出来ます。また、ピクチャーレールは天井に近い位置に取り付け、目立たないので、今は飾る予定がない場合でも廊下や各部屋に取り付けておけば、いつでも活用することが出来て便利です。
2.人との繋がりを感じられる家にリノベする
年齢を重ねるごとに、外出や人を家に招くことが億劫になって、人との繋がりが薄くなっていくことを感じている方は少なくありません。実は家の間取りが、そのことにいっそう拍車をかける原因になっていないでしょうか?リノベーションによって人との繋がりを保てる、むしろ人を招きたくなる家にするのはいかがでしょうか?
集いやすい間取りにリノベする
昔ながらの日本の家の造りや古民家の土間は、近所の人や来客者がフラッと立ち寄って、玄関先で座って話したり、靴を脱がずとも縁側に腰掛けてお茶を楽しんだりできる空間が多くありました。しかし、最近の住宅はプライバシー空間がしっかり守られていたり、玄関が狭かったりして、気軽に立ち寄ったり、靴を脱がなければ腰掛けて話したりする空間がなくなっています。そのため、お客様を呼ぶには部屋を片付けるなどの準備が必要と感じたり、近所の人も気軽に顔を見せにいけない雰囲気になってしまったりしているかもしれません。
もっと気軽に招いたり、立ち寄ってもらえるように、玄関先を広くしてベンチを設けたり、土間部分を家の奥まで設け、和室などの個室と繋げて小上がりにしたりしておけば、土足のまま部屋のそばまで入ることが可能です。和室の入り口に縁側のような板の間を設けておけば、腰掛けて会話を楽しむこともできます。
和室や個室につながる土間を設けておけば、車椅子生活になっても、部屋のそばまで外用の車椅子を持ってきて、スライドして乗り込むことができ、外出もしやすくなります。寝たきりになったとしても、お客さんが土間部分から入って、声をかけやすいので、人とのつながりを保ちやすい間取りです。
壁ではなく扉で仕切って自由度をあげる!
普段、1~2人で暮らすには、それほど広い空間は必要ないかもしれませんが、家族や知人が集まると狭く感じる場合もあります。だからと言って部屋を広くすると、冷暖房の効きが悪くなったり、掃除が大変になったりします。
その点をふまえて間取りを考える際には、部屋を細かく壁を作って分けるのではなく、部屋そのものは広くとって必要なスペースは扉を使って仕切るようにすることで、自由度の高い使い方が出来るようになるかもしれません。LDKに和室があったり、ベッドを置いたりしても、その空間だけを引き込み戸で仕切れば寝室にすることが出来ます。扉をオープンにしておけば、部屋を広く使って数人を招いたり、ベッドに寝ていてもリビングの話に参加できたりもします。
3. まとめ
シニア世代のリフォームやリノベーションはバリアフリーにすることだけがメインではありません。日々過ごす家なので、元気に、楽しみながら生活出来る空間を目指して、内装を自分好みに仕上げたり、趣味室を設けたりすることが出来るかもしれません。また、人が集まりやすいように、土足のままで入れる間取りにすることや、部屋を細かく区切らず扉を使って自由度の高い家にすることも快適な家を作る方法のひとつです。
リノベーションによって、いくつになっても暮らしを楽しめる家をつくりましょう。