ビル群に囲まれた都内では、鉄骨3階建ての住宅をリフォーム、リノベーションするケースが地方に比べて多くあります。住宅として建てられた鉄骨造もあれば、店舗やオフィスビルとして使われていた一部を住宅として利用できるようにリノベーションするケースも増えています。
しかし、リフォームやリノベーション会社の施工例では、木造や鉄筋コンクリート造のマンションの一室のリノベーションが多く、鉄骨造の住宅施工例はあまり見かけないかもしれません。鉄骨造をリフォーム・リノベーションする際にはどんな点に注意すべきなのでしょうか?
1.鉄骨造をリフォームする時はココに注意!
現在お住まいの鉄骨造住宅をリフォームする場合や、鉄骨造の物件を購入し、リノベーションして住もうと考えておられる方は、鉄骨造だからこそ意識しておく必要がある部分があります。
鉄骨の敵は『錆び』
鉄骨造をリフォーム・リノベーションする点で確認しておかなければいけない点は錆びです。基本的に防錆塗料が塗られた鉄骨によって建てられていますが、雨漏りなどが原因で水や湿気に晒され続けていると鉄骨に錆びが生じてしまいます。
錆びは鉄骨を腐食させてしまう原因となるので、構造部分に錆びが見つかったなら鉄骨の補修が必要となります。腐食が進み危険な状態であれば、鉄骨自体の交換が必要になってしまい、大掛かりな工事、しかも費用も高くなってしまうので注意が必要です。
また、住んでいくうえで結露対策をしっかり意識したリノベーションをしておく必要があります。窓を気密性の高いものにすることや、換気システムを取り入れることなどを検討しましょう。
リノベーションコストが高くなる!
木材に比べ鉄の方が、価格が高いので、やはりリノベーションする場合も、木造をリノベーションするよりもコストが高くなる傾向があります。リノベーション費用を抑えたいと思っているのであれば、物件探しの際に構造面を意識しておく必要があります。
内装のみのリフォームであれば、構造体を扱わないのでそれほどコストへの影響はないかもしれませんが、築年数が古く、鉄骨部分の補強やリフォームが必要になる場合や減築するために解体する場合などは、コストが高くなってきます。リフォームやリノベーションの範囲、規模、築年数による補強に必要性などによってコストがかわってくるので、物件の状態を確認すること、理想の家を明確にしておくことが重要です。
2.鉄骨造をリノベして住むのをおススメしたいタイプとは?
鉄骨造ならではの注意点を取り上げてきましたが、鉄骨造には、他の部材の構造にはないメリットもあります。ここからは、あえて鉄骨造の物件を住宅としてリノベーションすることをお勧めしたいタイプの方をご紹介したいと思います。
広々ワンルームスタイルを楽しみたい方!
主要部分が鉄骨で作られている鉄骨造は強度が高いため、木造と比べて細かな間隔で柱や壁を立てる必要がありません。そのため、区切られた部屋をリノベーションしてワンルーム化したい方には、鉄骨造の建物がおすすめです。
木造の場合は、壁を無くしてワンルーム化したくても、構造上や耐震上、抜けない柱や筋交いがあって、イメージしていた広々空間に柱が残ってしまうなんてこともあります。しかし、鉄骨造であれば多くの場合、柱のないイメージ通りのスッキリ空間にリノベーションすることが可能です。
都心にある狭小住宅などでは、ワンフロアも比較的狭いので、出来るだけ間仕切りをなくし、広く使いたいものです。その点でも間取りの自由度が高い鉄骨造を選ぶことで、ワンフロアごとにワンルーム化して使うことが出来ます。
また、シングルライフを広々空間で楽しみたい方、子どものいない夫婦でオープンな空間を作りたい方に特に人気の広々ワンルーム住宅は、開放的な大空間を作る点で適している鉄骨造の物件を探すことで、イメージ通りの空間にリノベーションしやすくなります。
インダストリアルテイストにリノベしたい方!
鉄骨造は工場や倉庫でも使われる構造だけあって、鉄骨の雰囲気は、それだけでインダストリアルな雰囲気を醸し出してくれます。あえて、天井に鉄骨を見せるスケルトン天井にするだけで、ガレージのような雰囲気にできます。コンクリートや土間ともデザインの相性が良く、無機質な雰囲気にコーディネートしやすい構造です。鉄骨3階建ての物件では、1階をガレージやオフィス、工場にすることも多いので、ワークスタイルにも似合う空間にすることが容易です。
木造住宅をインダストリアルテイストにするために、アイアンやコンクリートを取り入れたり、化粧梁をつけたりするより、そもそも工業的な鉄骨造を活用してリノベーションする方がインダストリアルテイストインテリアにする近道ですし、インテリアにかける費用を抑える点でも効果的です。
3. まとめ
鉄骨造は、ワンルーム化によって広々空間を楽しみたい方やインダストリアルテイストにしたい方におすすめの構造です。しかし、現在お住まいの鉄骨造の住宅をリフォームする場合や、鉄骨造の物件を購入してリノベーションする際には、構造部分の鉄骨が錆びていないか、劣化していないかなど、築年数を意識して高くなりやすいコストを不必要にあげてしまわないように気を付けましょう。また、長く住み続けられるように結露対策をしておくことも重要です。
木造だけを扱っているリフォーム会社もあるので、鉄骨造の物件も踏まえて探したい、リノベーションしたいという方は、鉄骨造の施工経験がある会社に依頼することで、今回取り上げた注意点を見逃すことなく、鉄骨造の強みを活かした住宅にリノベーションすることが可能です。